最強の海軍は最低の男
□第四話 王女の依頼
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グランドライン…ここを通るには二通りの航路がある。一つは山を昇って下る道、正確に言えば船一隻分の海流を昇って下るのだ。狭く、入れなければ山にぶつかり沈没するが、比較的安全でマトモなルートである。もう一つはカームベイと呼ばれる海流を通る。常に危険な天候で普通の船なら前進すらままならず、沈没する。それだけでなく、獰猛で巨大な海王類がウヨウヨといる。海賊はまず、このルートは絶対に通らない。海軍は技術があるのでそれで通れる。だが、バローネの軍艦は。
「ヨッ!!」
「ウソ…!?」
「これで悠々と航行できるぜ」
「いやいや!悪天候を生身でこんなあっさり吹き飛ばすとか人間やめてるとしかいえないわよ!」
「きはは!新世界の海賊どももこんなところ悠々と航行できるだろうが、俺のようなやり方はまずいないだろうな!」
「そんなおっかなびっくり人間なんかたくさんいてたまるか!」
バローネは武装色の覇気を使った嵐脚で悪天候を吹き飛ばして、海王類は覇王色の覇気で眠らせて悠々と航行する。ナミとノジコはあまりにも非常識な事に呆気にとられて叫ぶ。対して部下達は何とも思ってはいない。バローネの異常さに慣れてるからだ。
「きはは!俺だからできるのさ!さ、ナミとノジコ、お前達を強くするぞ。セックスばっかりはだめだからな!」
バローネはカームベイを抜けるまで、ナミとノジコを鍛える。バローネは女であろうと厳しく訓練させる。バローネは女には優しいと思われがちだが、訓練では厳しい。バローネは弱い部下はいない。どんなに一番弱い部下でも、六式は絶対に使えるのだ。現在のナミとノジコはバローネの厳しい訓練のおかげでどうにか六式は使えるようになっていた。ナミとノジコは最初はあまりにも厳しさに投げ出しそうになったが、なんとか我慢してここまでこれたのだ。
「バローネ中将?どうなさいましたか?」
「…いや、面白いものを視たんでな。お前達は何もするなよ」
「はっ!」
もうすぐでカームベイを抜け出す時、前方に巨大な海王類が暴れていた。よく見ると海王類の頭に人間が二人、しがみついていた。バローネは嵐脚で海王類をぶった斬り、しがみついていた二人は軍艦に墜ちてくる。どうやら一組の男女だったようだ。
「「ああああっ!!」」
「ふん、大丈夫かな?」
「え?あ、はい。大丈夫です。じゃない!だ、誰よアンタは!?」
「な、何者だ!」
「海軍だ。アンタは?」
「か、海軍!?」
二人の男女は助かって、今乗ってる船が海軍の軍艦だと知り慌てる。バローネは二人を、特に女を見る。女の顔は少しケバメだが、かなりの美少女だ。スタイルもいい。バローネはどうしようか考えて見聞色の覇気を使う。数日先まで視て、決断した。
「なんでここにいるのかはあえて問わない」
「あ、ありがとうございます!あ、あのもしよかったら、お礼を!」
「お礼?」
「は、はい!ウィスキーピークという所まで!そこまで行けばお礼を!」
「ミス・ウェンズデー!?」
「お礼くらいいいでしょMr.9?」
「…まあいいだろう。案内してもらおうか。ログポース、あるんだろ?」
「ええ」
「お前達、二人の世話をしろ」
『『『はっ!』』』
バローネは背を向けて笑みを浮かべながら自室に戻る。ナミとノジコはバローネの後を追う。
「なんで何もしなかったの?」
「あ?」
「少しケバかったけど、なかなかの美人だったじゃない。なんで手を出さなかったの?」
「きはは…視たからさ」
「「視た?」」
「ああ。ウィスキーピークって所に着いたらわかることさ。楽しみにしてな」
バローネはナミとノジコに何も言わない。それから数日、バローネは二人の男女に気付かれないようにナミとノジコを訓練して過ごす。セックスは無しである。そして、ウィスキーピークに到着した。