最強の海軍は最低の男

□第二話 魚人に支配された村島
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フーシャ村から出航して数日が経過した。バローネの軍艦、性濁艦はバローネの指示の元、ある方角に向けて航海している。甲板にバローネは腕を組んで仁王立ちしていた。

「あの…バローネ中将、どうしてこの方角に?哨戒任務をするのですなら右に向かうべきですが」

「視たからだ」

「視た…ですが。それはいったい?」

「それはあと数時間後にわかることだ。海域をしっかりと見とけよ」

「はっ!わかりました!」

バローネが何を言ってるのか、普通ならわからない。しかし、バローネの部下達はしっかりと理解していた。本来ならこのイーストブルーでは習得など不可能の力。その名は覇気!新世界にて必須の力である。覇気には三つあり、バローネが使用したのは見聞色の覇気!
見聞色の覇気は主に回避力を上げる為の力。しかし、極めれば少し先の未来を見透すことすらできる。バローネは剰りにも異常なまでに鍛えぬいたので少しどこらか、集中すれば数日の未来すら見透すことができるのだ。
バローネはその見聞色の覇気で未来を視たので何が起こるのかわかっているのだ。そして、それが起こった。

「バローネ中将!前方に人が!人が丸太を支えて浮かんでいます!」

「くくっ…!引き上げて助けてやれ。丁寧にな」

「はっ!」

部下の言う通り、前方に人が浮かんでいた。その姿は女性のようだ。オレンジ髪のした美人。バローネの指示通りに部下はその女性を引き上げて助ける。濡れているが息はしていて生きているようだ。

「どうしますか?中将」

「乾かしたら俺が連れていく。この場で待機だ」

「了解しました!」

部下達は濡れた女性を乾かしてバローネは女性をお姫様抱っこで抱えてバローネの自室に向かう。自室に入ると、バローネは女性をベッドの上に寝かせる。バローネはイスに座って薄く笑う。

「さて、そろそろ起きてもらおうか。寝た振りもやめな」

「…なんでわかったの?」

「さてな。まあそんなことはどうでもいい。何か飲むかい?」

「結構よ」

「そうかい」

女性は寝た振りをしていたようでバレてベッドの上に座る。海軍の軍艦にいるのになかなか肝が座っている。

「さて、名前は?適当なのはよろしくないだろ?」

「…ナミよ」

「ナミね。いい名前だな。俺はバローネ。この軍艦の司令官といったところかな」

「この艦は海軍?」

「そうさ。さて、なんであんなところで浮かんでいたのかな?」

「…」

「答えたくないか。それとも、海賊だからなか?」

「!違う!違うわよ!」

バローネがナミに海賊かと言うと、ナミは全力で否定する。その必死な否定にバローネは懐疑的な目をする。

「そうかい?ならその腕にあるマークはなんだい?海賊のマークじゃないのかい?」

「違うわよ!私は海賊も海軍も大キライよ!」

「大キライね。海賊はおもかく海軍に嫌いなんてね。俺達海軍にそんなことを言うなんてなんでかな?普通はしょっぴくところだが、気になることがあるから教えてほしいな」

「…!信用なんかできないわよ。海軍なんて、媚びへつらうだけの奴等なんて」

「随分と嫌われたものだ。教えてほしいものだ。もしかして、何かされたのかな?」

バローネはすでに視ていたが、ナミの口から聞きたいのか話させようとする。ナミは口ごもるが、バローネの顔と身体から発するオーラに話してみたくなったようだ。

「私の故郷が、ココヤシ村が魚人の海賊団に支配されてるのよ!」

「魚人の海賊団?」

「アーロン一味よ」

「アーロン一味?そういやこのイーストブルーで一番賞金首が高い海賊だったな」

「懸賞金2000万ベリーのこのイーストブルー最強の海賊よ!」

「2000万か。まあ、この海では最高金額だな」

ナミはアーロンの名を聞いてビビるかと思っていた。だが、バローネはほぼ無関心に近かった。そもそもバローネは新世界から来た海軍。このイーストブルーの海賊なぞ雑魚となんら変わりないのだ。

「私は、お金が必要なのよ!村を救うために!」

「金?なぜだ?」

バローネはナミからなぜ金が必要なのか聞いた。どうやらアーロンが村を自由にするには一億ベリーが必要なようだ。さらに自分は航海能力があるので航海図も描いているようだ。そして、アーロン達は海軍と手を組んでいる。その相手はネズミ大佐というらしい。ナミの理由と内情を聞いて、バローネは確信を得た。
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