アーネンエルベin金女主
□月のサーヴァント達
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冬木にいるサーヴァントがほぼこのアーネンエルベに集合した。まさに壮観である。過去の英雄達が一同に揃うのだから約一名は違うが。
「そういえばはくのん。アンタんとこのえっと、月の聖杯戦争。確かたくさんのサーヴァントがいたのよね?」
「うん。もっと私が知ってるのは十ちょいかな。全てじゃないから」
「そうなの。いったいどんな英霊がいたの?興味あるわ」
「そうだよな。たくさんのサーヴァントがいるんだろ?どんなのがいたんだ?」
「確かに興味ありますね」
「ふむ…」
「ふん、そんなことに興味あるか。まあよい許す!白野よ。話してやれ。どうせ知っても意味なき邂逅ゆえにな」
「わかった」
白野がこれまで出会ったサーヴァントを教えるようだ。それにマスター達やサーヴァント達は興味深々だ。
「まず私が最初に戦ったサーヴァントはライダーのフランシス・ドレイクだった」
「フランシス・ドレイクって世界で初一週を回った人物じゃない!もしかしてそのサーヴァントのマスターって慎二?」
「うん。シンジだったよ」
「信じられない!あの慎二がそれほどの大物サーヴァントを!?」
「でも白野。お前は勝ったんだよな?」
「うん。初めて…人を殺した」
殺した。その言葉の重みが士郎達にも伝わる。慎二とはまるで友人のようなそんな感じにとれるからだ。
「ほぉ…星の開拓者と戦うとはな。よほどの幸運に恵まれたか」
「なによアンタ、戦ってないの?」
「ギルは途中からだったから。私の最初のサーヴァントは別だったんだ」
「は?」
「なぜか記憶が曖昧なんだ。戦った覚えのないはずなのに戦った感覚があるサーヴァントもいるから」
白野には複数の記憶を持ち合わせていた。白野自身も把握しきれてないほどに。
「次に戦ったのはアーチャー、ロビン・フット」
「ロビン・フットってかなり有名な名だ!」
「ふん、ネズミになぞ遅れをとるなどありえんな」
「仕方ないよ。ロビンが言ってた。月のルールでは力を発揮できなかったって」
「ルール?」
「一対一のタイマン」
「なるほど。殆どのアーチャーでは不利だな。ロビン・フットなどその典型であるしな」
ロビン・フットは不運だろう。もし月でなく冬木なら力を最大限に発揮して勝利していたであろう。もしなのでもう遅いことなのだが。
「三回戦なんだけど…これはかなり曖昧なんだ。複数の記憶があるから。まずはキャスターのアリス、真名はナーサリーライム」
「ナーサリーライム?知らないわね。どんな英霊なの?」
「えっと…本だよ」
「は?」
「だから、本が英霊なんだ」
「んなわけないでしょ!本が英霊になるわけないでしょ!全く、冗談もいい加減にしなさいよ!」
「やれやれ、やはりこちらのトオサカリンではこの程度か。愉悦の対象にはなり得るが頭がこれほど固いとはな」
凛は真っ向から否定している。それはそうだろう。本が英霊になるなど有り得ない。普通の頭なら。
「マスターがちょっと訳ありでね。まあ私も最初は信じられなかったけど」
「…九十九神みたいなものか?」
「シロウ、なんですかそのツクモガミってのは?」
「物を長い年月大切にすると魂が入ると言われてるものだよ。つまりそのキャスターはそういう類いのサーヴァントなんだろう?」
「ほぅ、贋作ならではの理解力か。いや、この日本だからか。その通りだ」
士郎はすぐさま察した。そういう英霊がいるんだなと納得した。まだ凛は納得はしていない。
「あと、バーサーカーのヴラド三世」
「ヴラド三世って吸血鬼の原形とも言える存在。バーサーカーか。似合いね」
「たわけめ。そこしか見れんとは哀れな」
「なんでよ!」
ヴラド三世はバーサーカーとしては吸血鬼として。だが、本来はランサー。むしろこちらこそが本来なのだ。しかしマスターが異常者なので仕方ないのかもしれない。