NARUTO 〜飛翔の穹〜

□六の巻 第三の予選 後編
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ナルトとキバが対峙する。

(ようやくナルトの試合だね。あの時は再不斬との戦いでしっかりと見れなかったからね。今度はしっかりと見させてもらうよ)

(うずまきナルトね。あの映画がヤラセではなかったなら、キバでは勝てないわね)

(ナルト、お前の試合だ。お前がどれだけ成長したのか、見せてほしい)

(ナルトよ。里を抜け、穹の忍となったお主の力。よく見せてくれ)

(ナ、ナルト君を応援したい。けど、キバ君の方を応援しないといけない。同じチームだから。でも…)

ナルトを知ってるくの一と上忍達にイルカ、火影はすでにその実力を把握していた。キバは勝てないと。知らないのは里抜けする前の落ちこぼれだった時のことを知る下忍達。キバにいたってはもう勝ったも当然と思い込んでいる。

「ヒャッホヒャッホーッ!!これはもう楽勝だぜ!なあ赤丸!」

キバの喜びように穹の忍達は冷めた目で見つめている。

「赤丸どうした?」

赤丸は震えて鳴いている。赤丸はナルトの力を嗅覚で把握していた。キバよりも強いことを。赤丸は主人であるキバに警告するように鳴いている。その主人に届くように。

「そっか。お前は戦いたくないか。昔、お前とも遊んでたもんな。わかった。俺1人でやるよ」

残念、その思いは届かなかった。昔のことを引きずり判断してるキバでは気づくこともない。

「おいおい、赤丸は戦わないのかよ?」

「ケッ!お前なんか1人で十分だっての!安心しろよ。キレーに一発で伸してやっからよ!」

「…まあいいや。やってみれば?」

「それでは、始めて下さい!」

「いくぜ!四脚の術!!」

キバは獣のように四つん這いになり駆ける。ナルトを一撃で仕留めようと真正面から。

「なっ…!?ガッ!!」

ナルトはキバの伸びた爪による攻撃を難なくかわして左頬に軽く右の蹴りを入れて蹴っ飛ばす。たったそれだけのことで過去のナルトを知ってる下忍達は理解する。もうあの頃のナルトではないと。

(なんて軽やかな)

(す、すごい…!)

「おいおいマジかよ。あれがナルトかよ…!」

「だから言ったでしょ!映画でのはヤラセじゃないって!」

しかしまだ気付いてない者もいる。キバである。

「チィ…!おいナルトてめー避けんな!キレーに一発で伸してやるって言ってんのによ!」

「は?普通避けるだろ?」

「てめー!落ちこぼれの癖によ!図にのってんじゃねえ!!」

キバは頭に血が上りナルトに乱雑に攻撃を仕掛ける。キバの動きは獣のように縦横無尽に駆けながらナルトを攻め立てる。ナルトはそんなキバの動き、攻撃を見切り全て避けている。

「避けんな!避けんなって言ってんだろナルトー!!」

「おいキバ、十分にやっただろ?今度は、こっちの番だってばよ!」

「ナメんな!落ちこぼれのくせによ!!強がんな!」

キバはバカ正直に正面に突っ込む。ナルトは腰を落として左腕を曲げて脇を締めて拳を握る。

「はっ!」

「がばっ!!うああっ!」

ナルトは左の正拳突きでキバの顔面を殴り飛ばす。キバは数メートル吹っ飛び倒れる。キバは顔を手で押さえながら起き上がる。

「く、そ…!」

「こんなもんかキバ?威勢がいいだけなら、獣でも出来るってばよ。吠えるだけじゃあ俺には勝てねえったばよ」

「こん、な…!バカな、ことが…!」

キバはやっと気付いた。ナルトは強い。それも自分よりも格上。勝てない。負けを認めるしかない。それに待ったをかける声が。

ワンワン!!

「赤丸…!?」

赤丸である。赤丸は主人であるキバが負けそうになっていたのを見て奮い起て吠える。赤丸はナルトの実力に気付いていた。負けると。敵わないと。しかしキバがボロボロにされてるのを見て振り払った。そんな赤丸にキバは応える。

「すまねえ赤丸。俺はお前がホントのことを言ってるのに気付いてやれなかった。主人失格だよな。赤丸、こんな主人でもよ。付いてこれるか?」

ワンワン!!

「へっ!無様な姿を見せたなナルト!こっからが本番だ!もうてめえを落ちこぼれとなんか見ねえ!お前は、俺が越える目標に…!ライバルだ!」

「…おう!こいキバ!全力でかかってこい!」

(キバの闘志に火がついたわね。そうよキバ、ナルトは強いわ。アナタはチャレンジャーよ。ぶつかっていきなさい!)

(やっとナルトの真価が見れるかもな。さて、どれほどのものかな?ナルト)

「いくぜ赤丸!」

キバは赤丸に兵糧丸を食べさせる。キバも兵糧丸を食べる。赤丸の毛の色が白から赤へ。キバも赤丸も目がギラギラと獰猛な目付きへと変わる。

「擬獣忍法!」

(擬人忍法!)

「「獣人分身!!」」

「お!こんなこともできんのか!」

「いくぜナルト!!」
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