NARUTO 〜飛翔の穹〜

□四の巻 第一試験 第二試験
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第一試験、ナルト達の席はバラバラになる。

(筆記かよ。でも、マジで筆記だったらヤバいってばよ)

「ナ、ナルト君…」

「ん?あ、ヒナタ。お前も出たんだな」

「う、うん…お、お互い頑張ろうね」

「おう。ヒナタもな」

ナルトの右隣はヒナタ。ナルトはそれだけでもホッコリして喜ぶ。ヒナタはナルトが隣なので内心は失神しそう。

「試験用紙はまだ裏のままだ。そして、オレの言うことをよく聞くんだ。この第一の試験には大切なルールってもんがいくつかある。黒板に書いて説明してやるが質問は一切受け付けんからそのつもりでよーく聞いとけ」

ルールと質問を受け付けない。それだけで誰もが困惑してしまう。

「第一のルールだ。まず、お前らには最初から各自10点ずつ持ち点が与えられている。筆記試験問題は全部で10問、各1点。この試験は減点式となっている。つまり問題を10問正解すれば持ち点は10点そのまま」

要するに一つでも間違えれば減点される。

「第二のルール、この筆記試験はチーム戦。つまり受験申し込みし受け付けた三人一組の合計点数で合否を判断する。つまり合計持ち点30点をどれだけ減らさずに試験を終われるかをチーム単位で競ってもらう」

「ちょ、ちょっと待って!持ち点減点式の意味ってのも分かんないけどチームの合計点ってどーいうこと!?」

「うるせぇ!お前らに質問する権利はないんだよ!これにはちゃんと理由がある。黙って聞いてろ!分かったら肝心の次のルールだ。第三に試験途中で妙な行為。つまり、カンニング及びそれに準ずる行為を行ったとここにいる監視員達に見なされた者は…その行為一回につき持ち点から2点ずつ減点させてもらう」

つまり、筆記以外の減点の対象を作ったのだ。そして次の言葉でこの試験の本質に気付く。もっとも、気づいたものはまだ少ない。

「不様なカンニングなど行った者は自滅していくと心得てもらおう。仮にも中忍を目指す者が忍なら…立派な忍らしくすはことだ」

今、イビキが重要なことを話した。ナルト達穹の忍は全員気付いた。

「そして最後のルール。この試験終了時までに持ち点を全て失った者、及び正解数0だった者の所属する班は…3名全て道連れ不合格とする!」

最後のルールが全員にとてつもないプレッシャーをかける。全員の空気がピリッとする。

「制限時間は1時間だ。よし、始めろ!!」

第一試験が始まった。鉛筆の書く音が数ヶ所から聞こえてくる。

(さて、まずは問題を見せてもらうってばよ)

ナルトは問題用紙を見る。一問一問、じっくりと。そして気付いた。

(やっぱり全然わかんないってばよ。やっぱりこの試験、カンニング公認の偽装、隠ぺい術を駆使した情報収集戦か。俺ってばこういうの苦手だってばよ。念のために前準備しといてよかったってばよ。頼むってばよ。当りを見付けてくれってばよ)

ナルトはこの試験の本質に気づいていた。ナルトはこの部屋に入る前に影分身を何人か出して体を小さくさせて天井裏に潜ませて覗き見させている。ナルトは影分身の効率的な使い方を利用してこの試験に挑むつもりだ。ナルトの頭に消えた分身体数人の記憶が入ってくる。ナルトは笑みを浮かべる。

(よしよし…!答えがわかったってばよ!俺は問題なしだってばよ!)

(答え、見えましたね。それでは、書きますか)

(この音、リズム、筋肉の動く音、骨の軋む音、なるほど)

(ウチはこういうの苦手っす。ま、バレないように頑張るっす)

(…一応解ける問題でよかった。これは自力で解いた方が楽かも)

白は氷の鏡を使って、君麻呂は音で、フウは事前に口寄せした虫で、桃ツチは自力で問題を解いていく。そしてようやくこの試験の本質に気付いた者達も続々現れ監視員達にバレないようにカンニングしていく。そうして三十分が経過する。

(…ふぅ、これで全部解けたってばよ。それにしてもアカデミーで習っといてよかったってばよ。思わぬところで役に経ったってばよ)

ナルトがこうもこの試験に気付けたのはアカデミーで学んだからである。ナルト達穹の忍はアカデミーからあらゆることを学ぶ。この情報収集戦も教えられている。

(ナ、ナルト君…)

(ん?ヒナタ、そっちも終わったってば?)

(ナ、ナルト君も終わったの?す、スゴいね…)

(なぁに、アカデミーで習ったことだったからな。助かったってばよ)

(ア、アカデミーで…習うんだ…す、すごいね…穹の里は…)

(おう…!ん?)

ナルトの横にクナイが通り過ぎて後ろの席の用紙に刺さる。

「な、何の真似ですか!?」

「五回ミスった。てめーは失格だ」

ヒナタはクナイが通りすぎたので驚いたが、ナルトはそんなに驚いていなかった。

(ナ、ナルト君…!お、驚かないの?)
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