アーネンエルベin金女主
□もう一人の英雄王
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「失礼します」
一触即発の雰囲気の中、一人の客が来店。その人物を見て英雄王は顔をひきつらせる。客の正体はカレン・オルテンシア。ランサーと英雄王のマスターである。
「あ?なんだよマスター。てめえも冷やかしか」
「まあ、相変わらずの駄犬ですね。主人にそんなことを言うなんて。キツくすべきでしたかしら?」
「やめてくれ!で?何しにきたんだ?」
「そうでした。実は、成金王が逃げたしたので捉えにきました。まあ見つけましたけど…あら?」
カレンの目的は英雄王のようだ。カレンは英雄王を見つけたが、ギルガメッシュが二人になっているので少し目を見開く。
「ねえ駄犬、私、目がおかしくなったのかしら?成金王が二人に殖えてるのだけど?」
「見たまんまだ。どうやら別の英雄王らしいぜ。んで、そのマスターの嬢ちゃんだ」
「えと…ギルのマスターの岸波白野です」
「成金王と駄犬のマスターでシスターのカレンよ。それで、どちらを連れて行けばいいのかしら?困ったわね。まあ、どちらも捉えたらいいのかしら?」
カレンの手に持つ宝具がユラユラと動く。どうやら二人のギルガメッシュを捉えようとしている。白野は二人のギルガメッシュを見るが、英雄王の姿が見当たらない。ギルは腕を組んで座っているのに。
白野は辺りを見渡すと、英雄王が厨房口から外に逃げ出そうとしていた。
「ギル!」
「わかっている!天の鎖よ!」
「ぬおっ!我!貴様!」
「フィッシュ」
白野の指示に即座に応えて、ギルは天の鎖で英雄王の足を絡ませてこかせる。英雄王がギルに顔を向けて吠えようとした瞬間、カレンの宝具の布が英雄王の身体全体に巻き付く。英雄王は顔以外がミノムシ状態となってしまう。
「ほれ、さっさと連れていくがよい。全く、同じ我ながら情けないもよの。逃げるなど」
「我よ!こやつの本性に気づかぬからそのようなことが言えるのだ!こやつは人の皮を被った悪魔よ!」
「ふははは!知らぬな!そもそも見ただけですぐに看破したわ!やはり堕落してるな。少しはお灸を据えてもらうがよい!」
「オノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレ!!!!」
「あなた、この成金よりはマシなようですね」
「当然よ。我こそ新なる英雄王、ギルガメッシュだ!」
「なるほど。ねえ、そこにいる成金と交換しない。私ならもっとあなたを上手に扱えるわ」
カレンは英雄王とギルを交換しようと企んでいる。さすがは某外道神父の血を継ぎ持つ娘である。
「だめ…」
「白野?」
「だめ。ギルは私のサーヴァントだから」
「ふ、ふはははは!何を心配してるのだ白野。よい!許す!我は貴様のサーヴァントだ!」
「…なるほど。仕方ありません。諦めましょう。まあこの成金でも役に立つので。それでは、ごきげんよう」
カレンは英雄王を完全にミノムシ状態にして店を出て連れて行った。ようやく店が静かになった。ギルは愉悦に満ちた笑みを浮かべた。