アーネンエルベin金女主

□見知った者 凛と弓兵
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「はぁ、はぁ、はぁ…」

「えと…ごめん」

「謝って、済むと思ってんのかーっ!」

「ひぃー!」

「はははははっ!」

白野に追いかけられた凛は息づかれして息を整えている。白野は謝るが凛はまるで鬼の形相のように白野を睨み付ける。ギルガメッシュは笑うだけ。

「全くもう…」

「くくくくっ!なかなか堪能させてもらったぞトウサカリン。やはり貴様は面白いな」

「アンタなんかに面白がられても嬉しくなんかないわよ!」

「リン落ち着け。これ以上英雄王の口車に乗るな」

「わかってるわよアーチャー!でもね!言ってやらないと腹の虫が収まらないのよ!」

もう凛の怒りゲージはレッドオーバーをぶっちぎってるようだ。アーチャーがなだめても無駄のようだ。

「はぁはぁ…ふぅ〜…まあいいわ。それにしても不思議ね。その月のデンノウクウカンってやつ?そこに私がいるなんてね」

「うん。凛には表の時から助けてもらってばっかり」

「でも、勝ったんでしょ?私に…」

「…うん」

「どうみても平凡よね。そこの英雄王を除いたら」

「ふっ、わかってるではないか。この白野は見た目も中身もハサンそのもの。この我とて涙が出るほどのものだ」

「おいこら。誰がハサンだって。これでも結構あるんだよ。コツコツと貯めてたからな」

ギルガメッシュの他人への罵倒はいつものことだが、白野がギルガメッシュに突っ掛かるのに凛とアーチャーは驚くしかない。ギルガメッシュの性格を理解してるので血の海にならないかとヒヤヒヤものである。

「ほほぉ、その時を楽しみにしてるぞ。もしハサンではなくなったら我が至高の美を見せてやる。ま、何百年後になることやら」

「バカにしすぎだギル。あと、至高の美とか見たくない。目が瞑れる」

「雑種貴様!我が至高の美をなんと心得る!貴様のような貧相な身体では一生不可能なものを!」

「貧相と言ったか?ならば戦争だ。ギル。お前の口にこの麻婆を喰わせてやる」

「その劇物を喰わせるだと!?よかろう!蹂躙してくれる!」

なんだこれは?凛とアーチャーが思ったのはこれである。ギルガメッシュがこのようなじゃれあうなど誰もが想像できなかった。なんだか楽しそうである。このギルガメッシュを見て、凛とアーチャーは本当に別のギルガメッシュだなとつくづく感じた。

「む?なんだトウサカリンに贋作者。言いたいことがあるなら申してみよ。許す」

「アンタ、本当に私達の知ってるギルガメッシュじゃないのね。ええ。外見も中身もギルガメッシュよ。でも、なんていうかね」

「ふん、当然よ。この世界の我は肉を得ているのであろう?我は霊体ゆえ。その差であろう」

「なるほど、肉体があるからああなっていて。霊体かあるからそうなのか」

「もっとも、マスターの違いもあろう。なにしろ我のような英霊を使役するなど白野のような存在だ」

その皮肉は前の第四次聖杯戦争のマスターに対してであろう。この世界のギルガメッシュのマスターは遠坂時臣。凛の父親である。魔術師としては一流かもしれない。しかし、人間としては失格の部類に入る。
なにしろギルガメッシュを召喚したのも自身の願望を叶える為の駒扱いだった。それに気づかないギルガメッシュではない。裏切るは必定であった。そして、この時代の人間を見れば、暴君にもなろう。

「…ギルを使役か。私のようなのかな?」

「それはあり得んだろう。貴様はまさに人間として最高の娯楽。人間として我の基準にあっている。だが、この世界のは相応しくないな。恐らく、まあ一応の扱い程度であろう」

「でしょうね。アンタはそう言う英霊よね。つか、はくのん。アンタ、こいつになにしたの?こいつが従うなんてあり得ないわよ」

「ふ、貴様らに話すことなどないが、今回は特別に聞かせてやってもよい。視聴するがよい!」

ギルガメッシュはご機嫌に話そうとする。しかし、その前に新たなる客が現れた。そう、まだピースが足りなかった。足りなかった分が継ぎ足していこうとしていた。
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