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□こえをきかせて
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1.
私は周りの人をあまり幸せにすることができない。
歩けばぶつかって痛い思いをさせてしまう。
喋れば不快な思いをさせてしまう。
私がたまにある幸福感に浸ればもしかしたら周りの誰かがかわりに不幸になっているのかもしれない。
私はこの世界の厄病神だ。
……
…
おはよう…世界
我ながら厨二病くさいセリフだと思ってる。でもこれは大事なこと、世界を大事にしなきゃ世界を愛さなきゃ厄病神の私はたちまち消えてしまう、そんな予感がしていた。
そんな平凡なちょっと厄介な私の話がガラリと変わるなんて考えも思いつきも頭の片隅にも夢にも思わなかった。
そう、ぼやーと霞んだ視界が広がった時に私が見たのは…
私の知らない世界だった。
やっぱり私はあの世界の厄病神だったんだ…
悲しくて寂しいはずなのにストンと私の胸が音がなった気がした。
ドン
ごめんなさいと謝ろうとした時
「っ……⁉」
な…んで………が
「おい」
彼に会ったんだ。