ソニック小説

□ヘッジホッグ幼稚園
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ここ、ヘッジホッグ幼稚園は、とにかく明るい。
勿論生徒達のお陰もあるが、なんと言っても園長であるエッグマンという人が愉快なのである。
子供達と混ざって悪戯はするし、何かと頭がいいので機械で相手をすることもある。(大抵生徒に壊されるが、本人はあまり気にしていないらしい)
そんなエッグマンは、ある悩みを抱えていた。
彼にしては珍しい、なんとも言えぬ悩みである。
「な〜んであんな喧嘩しちゃうかな〜」
それは、ある少年達の事であった。

この幼稚園には、マスコット的生徒がいる。
クールで、キュートで、かつ好かれやすい。生徒からは勿論、親御さんからも愛されていた。
その少年の名はソニックと言う。
別に本人が意識して好かれているわけではない。ただ、そういう性格だったのだ。
そして、その好かれるには二つの意味に別れる。
「恋愛ではない方で」の好きと、「恋愛的な意味で」の好き。
親御さんからは前者だが、生徒に関しては後者が多い。
よって、喧嘩の一つや二つは常だった。
「ソニックは俺様と結婚するんだ!でーっかい結婚式を開くんだぞ!!」
「だ、だったら俺だって!!暴力しないで大切にする!」
「ンだと!?」
「痛いっ!やめろよ!!」
俺様で、何かと手が出やすいスカージは、今日もエスパー使いであるシルバーに食って掛かる。
シルバーも負けじと抵抗しているが、それが更にドタンドタンと喧嘩をヒートアップさせた。
「うるさい…」
ガリガリとクレヨンで二人の似顔絵を書いては塗り潰す、書いては塗り潰すを繰り返すシャドウは、そう呟いて顔をしかめた。
その隣にはクレヨンでソニックと自分の結婚式の様子が描かれた紙がある。
顔は不機嫌だが、そこには頑固とした意地が見てとれた。
「相変わらず皆すごいねぇ」
「お前もな」
そんな様子を隅で眺めているのは、メフィレスとナックルズ。
ナックルズは、少し止めようか悩んでいると言った顔だった。
「お前が持ってるそれソニックの靴下だろ」
「すっごくいい匂いだよ。…嗅いでみる?」
「いい」
そっか、と呟いてメフィレスは靴下に鼻先を沈めた。
クンクンと鼻を動かす。
暫くそうしていたかと思うと…――
「僕はちょっとトイレ行ってくるよ」
そういって、前屈みになってトイレへ向かった。
「………そろそろマジで通報を考えるべきだろ」
ナックルズは少し頭を抱えるそぶりを見せたが、実際彼もまた、ソニックガチ勢であるので自らは通報しない。
誰か、してくれることを祈るのみだ。
「やだやだやだ!!絶対俺と結婚する!!!」
「寝言は寝てほざけ!」
「ほっ、本当の事だ!!」
あぁ…喧嘩は益々酷くなる。
まだ今は優しい方であって、実際はこの幼稚園には相当なソニックガチ勢が存在する。
……モテる男は…辛い…。









(ちょっと飽きたとか言えない)
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