ソニック小説

□君の恋と俺の恋
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「ありがと〜ございました〜」
無気力な声を背にコンビニを抜けた。
屋根から滴り落ちる粒。
それに重なるようにして屋根の外で降りしきる雨。
「うぇ〜…寒…」
そのせいかいくらモフ度120を誇る俺でも身震いしてしまう。
隣で少し不快そうに顔をしかめて溜め息を溢すメフィレスは、何を思ったのか腕を伸ばした。
寒くないのだろうか、身震い一つしない。
「冷たいねぇ」
そう言って目を細めた。
訳がわからない。
「当たり前だろ?雨なんだから」
俺は「ほら、さっさと帰るぞ」と言って腕を引いた。
一つの傘の下に二人。
自然と肩を寄せあった。…あまり嬉しくない。
このメフィレスとの接触がソニックだったら良いのに、と考えてしまう。
すると昨日の事が瞬間的に頭の中を埋め尽くした。
身を引き裂くようなごちゃごちゃになった感情。
悲しそうな顔をして笑う彼女。
潰されるような錯覚もした、重い空気。
「…許したくないな」
ボソリと呟いて、地面を睨み付けた。
結局、17時になってもソニックは来なかった。
来てほしかったし、一緒に遊びたかった。
子供みたいに笑って、昨日の暗い顔が消え失せるように俺と遊ぶんだ。
メフィレスも混ぜてやっても良いかな。
まぁ、それもただのイメージで、もう夕飯だ。
パタパタと傘に雨がぶつかる。
「…遊びたかったな〜」
「だねぇ……あれ…?」
「ん、どうした?メフィレ…あ?」
もうすぐ自宅、そんな時だった。
メフィレスが動きを止めて、目を凝らす。
「…ぁ…あ、ソニック…」
玄関の前に倒れる青色を認識したとき、メフィレスも俺も迷わず傘を投げ出した。
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