ソニック小説

□彼が好きな君が好き
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好きになった俺が悪いんだろうか。
別に答えを求めたい訳じゃないけど、どうしても好きだったから。
俺は一人ソニックを見つめながらそんな事を考える。
本当に夢のように思えて、まだ頭が現実だって受け入れきれてないようだった。
妙に頭がボーッとする。
奇跡的にも彼女と一緒に二人きりで過ごせているのに。
「…珍しいな、アンタが俺を誘うなんて」
やっと出せた言葉は、どこか震えていた。
ソニックは相変わらずチリドックを頬張っている。
聞こえなかったのだろうか。もしくは…
「言いたくない…か」
ボソッと俺の口から漏れた一人言は、まるで無かったもののように自然と消えていく。
…ソニックが消したようにも思えた。
「…早く食わないと冷めるぜ?シルバー」
いつものように、口角をつり上げて笑う。
俺は反射的に手元のオムライスに食い付いた。
ソニックの手作りで、丁度良い位の温度。
俺の口には勿体無いほど美味しく、味が溶けていく。
「…美味いか?」
「おいしい!」
「そっか」
俺が頬張りながら答えたからだろうか、ソニックはクスクス笑いながら俺の様子を眺めているようだった。
どうにも食べづらい。
俺が手を止めたからだろう、ソニックは一瞬だけ不安げな顔になった。
その変化が妙に頭に残る。
「どうした?なんか…不味かったか?」
「違う違う!その…さ、ずっとこっち見られてると…食べづらいっていうか……」
俺がなんて言えば良いかわからずにモゴモゴしていると、ソニックはわざとらしく言った。
「なんだ、ドキドキしたかい?」
わかっているのか、そうでないのか。
どちらにせよ俺の心臓は跳ね上がっていたのに変わりないか。

俺は返答せずにオムライスに手を伸ばした。
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