ソニック小説

□畏怖すら感じるその正義
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「……っ…」
ボタボタと地面に赤い液体が広がる。
それは全て目の前の、同じく赤く染まった彼から流れたもの。
スカージはその弱々しい姿に情けもかけずに蹴りあげる。
「〜〜〜っ!!!」
ガカンっと壁にぶち当たりその場に倒れる。今の衝撃で傷が余計開いたらしい。
咳き込む度に血が数々の傷から溢れる。
彼…ソニックはもう、片腕は使えない。
何故なら…折れているし、何より傷の数が半端じゃない。
「……っはぁ…は、ぐっ…っ…」
痛みを堪えながらまた、ヨロヨロと立ち上がる。
スカージはヒクッと顔をひきつらせた。
ソニックはもう、足も充分に動かせない。
……それほどに、体は酷く傷つけられていた。
「まだ立つのかよお前w」
顔はひきつったまま、嫌な笑みを浮かべて言った。
ソニックはフラッと壁に体重をかけると、答えの代わりに強く睨み付けてやった。
……ゾクリ。
「ははっ…そこまでされて、よく逃げなかったもんだなぁww」
スカージは笑ってソニックの側に一瞬で近寄った。
……バキッ。
完璧に、右腕は粉々になっただろう。
「〜〜〜っっ!!!!!」
声にならぬ悲鳴をあげてソニックは倒れる。
血がドクドクと止まることはない。
「ぁ…ひ…っぐ…はぁ…っ…」
それでも、立つ。
…ゾクゾク。
「……はっ…良い眺めじゃねぇか…なぁ?青い英雄さんよぉ!」
「っぁああぁああ!!」
抑えきれない。
ソニックはグリグリと踏まれる足を必死に動かした。
しかし、それは痛みを煽るだけ。
「やめ、足は…折れる…!…っぁあ!」
「あぁ?聞こえねぇなぁ…いつもの声はどうしたよ…ww」
グリッと思い切り捻る。
ずっと刃物で切っていたせいか、
呆気なくその断面は姿を現した。
「ぁああぁあぁああぁああ!!痛い!足が、足がぁあ!!」
悲鳴。
ゾクゾクと下半身が疼いた。
血の臭いが鼻を刺激する。
それも、全ては目の前の、ソニックのもの。
「…っあ…は…ん、ぐっ…ふぅ…っ…」
目は完全に虚ろになっている。
それでも…
「まだ立つのか…!?」
…初めて、怖いと思った。
目は完全に虚ろで、血も流れている。
あの量だと、とっくに倒れて、意識をなくしていてもおかしくないのだ。
それでも、ソニックは立ち上がってスカージを見据える。
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