ソニック小説

□あまりにも美しく、儚いもので
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「ソニック。女装して僕とデートしてくれないか」
朝から開口一言目がそんな言葉だった。
自分自身、前置きを置くべきだったか悩んだが、あまりにも…
「ん?あぁ、別に良いぜ。暇だしな」
簡単に、そりゃあもう僕も驚くぐらいにあっさりと了承してくれた。
「女装かぁ…初めてだな…あ、女に成りきった方が良いのか?」
「……え」
己の口から情けない声が鳴る。
頭の中が少しこんがらがる。
女装なんて普通、断るだろうに。
何故君はそんなにあっさりと了承してくれるんだ。
そう、問い掛けるのを堪えてただ
「あぁ」
とだけ、答えておいた。
「ワオ…難しいねこれは…」
ソニックのいつも通りの声。
当たり前のように僕の持っていた白いワンピースを取ると、スルッと腕を通した。
「ん〜…やっぱりワンピースは慣れないな…ソワソワするぜ…」
「……、は…」
息を、していなかった。
あまりにも、女の子に見えて。
可愛く見えて。
でも……
(……胸の辺りが、モヤモヤするな…)
妙に、可愛くて美しくて、厭らしく見えるのに、それでも胸の、今はよくわからないモヤモヤは消えない。
「…で、デートだっけ?早く行こうぜ?1日が終わってしまうだろ?」
「……あ、そうだな」
腕を引いて歩く。
ソニックの顔を横目で見てみる。
……妙に赤くて、微笑んで見えた。
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