■幽白 ―短編集―
□『 男の子 』 −適当な50のお題−
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『 男の子 』
男の子って、いつから男の子じゃなくなるんだろう。
初めて出会った頃の彼は、まだ少し
少年のあどけなさと幼さを、あちこちに残していて。
彼のその物腰や、醸し出す雰囲気は
周りの同級生の男の子達のそれとは、少し、違ってはいたけれど。
けれど、まだ細く、薄めの肩のラインや
ふと笑う、表情の端に
幼さの、名残があったのに。
背が伸びて、少し緩めだった制服も、今は、しっくりと馴染んで、
ゆるゆると、ゆるゆると、
「男の子」だった顔や、身体や、心や、瞳は
変化を、遂げて。
でも、まだ。
まだ、「オトコノヒト」では、ないのに。
それでも、見つめてくる、彼の瞳は
もう、『オトコノコ』の、瞳じゃない。
ほんとうに。
男の子って、
いつから、男の子じゃなくなるんだろう。
適当な50のお題(配布元:personale様)