小説1

□お正月
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お正月




新年を迎えた水城花音、神宮良介、森本健太郎の三人は、水城家に集まっていた。

「どーだ!3万もお年玉もらったぜ!スゲェくねぇか」

「フン、いい年してお年玉自慢とはいい趣味だな。ちなみに……俺は4万7千円だが?」

「なっ!趣味じゃねぇ!てか、お前も自慢してんじゃんか!!」

「別にしたつもりはないけどね。」

「マジ、ムカつく………」

「勝手にムカついとけ。」


良介と健太郎の口喧嘩の最中、花音は二人を眺めながら苦笑し、花音の祖母は楽しく眺めながら茶をすすり、花音の兄 裕介は二人の喧嘩を楽しく眺めながていた。

ふと、花音は口に出した。


「私………お年玉5万だよ?」


バッ


二人して、花音に振り向いてきた。良介はさらに驚いた顔になり、健太郎は唖然とした表情になっていた。


「お前、家族少ねぇのに、5万って………」

「俺より上がいたなんて……」


二人して肩を落とした。


「家族少ないってのはいけないよ。良介くん★一応親戚がたくさんいるから、多分5万になったんだよ。まっ、僕が2万もやったからかな?」


裕介が口を挟んで言ってきた。


((いくら妹がかわいいからって2万はないだろ))

「てか、シスコン度高くねぇか……」


ボソッと良介が呟いたのが、裕介の耳に届いたらしい。


「いけない?兄が妹をかわいく思ったら?」

「滅相もないです!!」

「そっ、良かった。」



あまりのスマイル全開に反抗できなかった良介であった。


(マジ怖ぇ〜し。スマイル全開で………《シスコンのどこが悪い?後でどうなってもしらないよ?それでもいいの?》………あんな恐ろしい言葉が顔に書いてあると、反抗できねぇっての……)


「花音」

兄の裕介は花音を呼んだ。花音は今座っている場所から兄の隣へ移動した。


「何?お兄ちゃん。」

「やっぱ妹ってかわいい!」

「わっ」


いきなり花音に抱きついた裕介。内心戸惑い気味の花音であった。その絵を見ていた良介と健太郎が(羨ましい……)と心の中で呟いていたのも知らず、楽しくお正月を過ごしていった。
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