戦う!セバスチャン

□欲しいモノは
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「だったらなぜ僕の言葉を信じてくれないんだい?」

嫌われていないのは分かっている。
以前は僕を見ると一目散に逃げていたけど、最近はこうして距離さえ取っていればごく普通に接してくれるようになったから。
少しずつでも好意を持たれていると。
それは実感出来るのだけど、僕の求めるものとは少し違うから。

「…信じるも、信じないも。」
B君はそう呟いて、言いずらそうに口をつぐんだ。
僕が構わない、と続きを促すとやっと再び口を開いて。

「ユーゼフ様は、言葉だけです。心がこもってないから本気になんか取れません。」

…言われて、初めて自覚した。
おかしな話だけど、今まで誰もそんな事を言っては来なかったから気づきもしなかった。
…確かに、心からの言葉なんて発したことがないかもしれない、と今更ながらに思う。
B君は怯えながらも、その真っ直ぐな瞳できちんと僕を見てくれていたんだね。

…ああ。

ああ、やっと気付いた。
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