戦う!セバスチャン

□こんなにも
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…それ以来何かがおかしい。
僕の中に表現出来ないような、不可解な感情がある。
あの時のデイビッド君の顔とか、触れた唇の柔らかさとか。
思い出す度にそれは心を占めていく。

一体、何なんだろうこれは。
何て言うんだろう、この感情は。

僕はデーデマン家へと向かった。
あれから3日、訪れてはいなかったのだけど。
だって流石に気まずいだろう。
自分にだって自分の行動の理由も分からないままだったし。

けど会おうと思った。
会いたいと、思った。

屋敷内を我が物顔で徘徊しながら、厨房に辿り着く。
ノックもなしに扉を開けると中ではデイビッド君とセバスチャンが話をしていて。

「ああ、ユーゼフ様。」
セバスチャンが気付いて軽く頭を下げた。

と、同時に今まで確かに笑顔を浮かべていたデイビッド君の表情が消えて。
「ハニー、俺ちょっと用事思い出したから!」
「は?」
あまりにも唐突にそう言って僕の横をすり抜け、出て行こうとする。

無意識に、その腕を掴むと彼は悲しみとも戸惑いとも取れる表情で僕を見るから。
ずきりと確かに体の中が痛んだ。

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