戦う!セバスチャン

□valentine's day
2ページ/7ページ

丁寧に箱に詰めて。
はやる気持ちを抑えながら夕食の仕込みを一段落させて。
直接渡したくて俺はお向かいの屋敷へ行く事にした。

「デイビッドさん。」
玄関ホールでハニーと何か話していたお向かいの執事が、俺に気付く。
「よう、えーとロベルト君?」
「そうです。こんにちは。」
いつものように、淡々とした挨拶。
けれどいつもなら挨拶を交わして終わりだけど今日はそうでもないらしく、俺をじっと見て。
「伝えに行こうと思っていました。ご主人様の伝言で、今日は誰も屋敷には入れるな、と。」

「…え?」
俺の持っていた箱を見てお向かいに行こうとしていることもその理由も彼には理解できたのだろうけれど。
俺にはそれは、拒絶の言葉のように聞こえた。
だってせっかくのバレンタインデーなのに。

あくまで淡々と俺の様子を伺ってから、用事が済んだらしく頭を下げて帰ろうとしているロベルト君を慌てて呼び止める。
「…つまり、今日お向かいサンには会えないって事なのか?」
やっぱりあの人はこういうイベントに興味などなかったのだろうか。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ