戦う!セバスチャン
□このままで
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「お向かいサンでも居眠りしたりするんだなー。」
言い終わらないうちに僕は彼に抱きついた。
「おっと…!」
反動で倒れそうになったのを耐えてから、訳も分からないだろうに、デイビッド君は優しく抱き返してくれた。
彼の腕は温かくて、僕はやっとさっきの事は夢だったと心底安心したのだ。
…このままの彼が良い。
このまま、だからこそ愛しいのだ。
「お向かいサン?どうしたんだー?」
まるで子供をあやすようにポンポンと背中を撫でてくる。
その優しさが嬉しくて。
「ユーゼフ様?」
言葉が出てこなくて、返事の代わりにさらにきつくしがみつく。
「…ユーゼフ。」
「…もう少しだけこのままで、いてくれないか。」
何とか声を絞り出す。
デイビッド君は少し考えてから、僕を抱きしめる腕に力を込めた。
このままの君が良い。
だからどうか君よ、ずっと変わらないでいて。