[2]

□過去拍手お礼
4ページ/4ページ

「そういえばな、B君。」
いつものようにユーゼフ様から逃げてデイビッドさんの背中に抱きついていたら、思い出したようにデイビッドさんは笑った。
「何ですか?」
「恐怖なんかでも、ドキドキしすぎると脳が間違って恋をしてるふうにとることがあるらしいぞう!」
それはそれは、爽やかな笑顔だった。
でもオレには衝撃的すぎる発言で。
「え…つまり、それって。」
「B君もお向かいサンに恋しちゃったら、こんな風に逃げなくてすむから良いんじゃないか?」
「…っ!」
思わず想像して、恐ろしすぎて血の気がひいてしまった。
ていうかこの恐怖の克服はそんな単純な話じゃないし、良い解決策とは到底思えないんだが。
このドキドキはもう体に染みついた条件反射だ。
これほど恐怖を感じる人に恋なんて…。
「ここにいたのか、B君。最近の君の逃げ足ったら見事だよねえ。」
いつの間にかユーゼフ様は目の前にいて、にっこりと笑顔を浮かべた。
恐怖。
それだけ、のはずなのに。
かああっと顔に熱が集まるのを感じた。
――恋、なんてするはずないのに。

「デ、デイビッドさんのバカー!」
オレは脱兎の如く唯一の安全場所を飛び出した。


多分一周してデイビッドの元に戻ります(笑)
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ