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□お題(略)
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セバスチャンが風邪をひいたらしい。
前回もそうだったみたいだけど、どうして彼の風邪はこう重度なんだろう。
苦しそうに呼吸をする姿は可哀想で見ていられないほど。
「大丈夫かい、セバスチャン。」
「ユーゼフ…様…。」
でもこんな弱った姿は正直貴重だ。

「寿命三年と引き換えに今すぐ風邪を治してあげようか?」
だから思わずこんな冗談を言ってみる。
まあここで頷かれても、本当に寿命なんて取らないけどね。
セバスチャンは熱のせいで寄せていた眉間のしわをますます深めて呟いた。
「あなたに寿命を払うくらいならこのまま死んだ方がましです…。」
「なんだ、残念。」
どうやら憎まれ口聞けるくらいの余裕はあるらしいことに安心して僕は笑う。
「じゃあ寿命は良いから代わりにキスして?」
「何を言って…。」
「僕に風邪、移してくれて良いよ?」
言うとセバスチャンはふいっと向こうを向いてしまった。

「デイブ君にはしたんだろう?」
僕はその場に居損ねたけど、以前セバスチャンが風邪をひいたときには迷わず彼とキスして風邪を移したと聞いたから。
そのノリで良いから、キスしてくれたらすぐ治してあげるのに。
「…あなたとデイビッドは違います。」
やがてセバスチャンがくぐもった声で言った。
「簡単に出来るわけ…。」
顔は向こうを向いているからどんな表情をしているのか分からないけれど。
でも予想がついて頬が緩む。
「セバスチャン、それわざとじゃないよね?」
これが彼の作戦だとしたらたいしたものだ。
まんまとそれにかかるのも良いだろう。
けどセバスチャンはきっと無意識に言っている。
僕のことが特別だと。

無理やりこちらを向かせて口付けた。
「…っ!」
顔が赤く染まっていくのは熱のせいだけではないだろう。
瞳も潤んでいてとても魅力的だ。
「さ、お休み。起きたら元気になってるよ。」
「ね…眠れると思ってるんですか!」
ああそんなに声が出せるならもう大丈夫だね。
僕の愛がこもったキスだもの、すぐ効くに決まっているけど。

特効薬


…なんてね!(何)
ユゼセバっていうのも結構好きです。
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