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□お題(略)
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来客だと言ってロベルト君が連れてきたのは、セバスチャンとデイビッド君だった。
「おや、珍しいね。」
セバスチャンはまだしも、デイビッド君が屋敷に来ることはまれだ。
「なんかお向かいサンに会いたくなってな!」
にっこりと裏表のない笑顔は心が和む。
全く可愛いことを言ってくれる。
「ん?お向かいサン、煙草吸ってるのか?」
「ああ、珍しい葉巻をもらったから。」
特に煙草は好きではないけれど吸ってみたら意外と気に入って、この数日書斎で嗜んでいた。
ちょうど今も吸っていたところで、ふうんと相づちを打ったデイビッド君はそんな僕をしばらく眺めている。
どうしたのかと思いながらもとりあえずセバスチャンから預かった書類にサインをしていく。

「なあお向かいサン。その葉巻ちょっと貸してくれ。」
数枚サインをしたところでデイビッド君にそう声をかけられた。
何だ、これを吸ってみたかったのか。
勝手にそう結論づけて葉巻を手に持ち顔をあげた。
ちゅっ、と軽い音が響く。
顔をあげるとデイビッド君の顔がすぐ近くにあって、キスをされていた。
セバスチャンとロベルト君は呆れ顔でこちらを見ている。

「…これじゃムードも何もないじゃないかデイブ君。」
「デイビッド!」
彼からのキスは嬉しいし、別に人に見られたから恥ずかしいという気持ちはないけれど。
だからと言って見せつけたいわけではないし、これはあまりに唐突すぎる。
「だって煙草なんかに独占されるのは悔しくてなー。」
――ムードだなんだという台詞は今すぐにでも撤回してしまおうか。
そんな可愛いことを言われては、僕の理性などあとどれだけ保つか分かったものじゃない。

本能>ロマン


END

ユーゼフ様は一番ロマンチストなんじゃないかなと思います。
最初は「意外とロマンチスト」って題のつもりで書いてたのに、最後に変わってしまった…(笑)
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