戦う!セバスチャン

□あなたの気配なら
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いつもと同じ、屋敷の風景。
日々増える落とし穴の場所も把握して、変わらない廊下を進むのだけど。今日はふと違う何かを感じて足を止めた。

「…ユーゼフ様?」
瘴気など感じないけど。オレは呟いて廊下の先を見る。
「おかしいな。何でばれてしまったんだろう。」すると案の定曲がり角からユーゼフ様が現れた。
オレを驚かすつもりだったのか、残念そうな表情を浮かべている。
オレは笑った。

「分かりますよ、あなたの気配なら。」
今までは瘴気ばかりに気を取られていたけど。
…恐れて恐れて、敏感になりすぎて?
瘴気に隠されていたあなた自身の気配に気付いたから。

「逃げないの?」
「逃げて、いいんですか。」
「意地の悪い答え方だねえ。」
それでもユーゼフ様は穏やかに微笑んで。
そっとオレの、髪に触れる。
「…本当に、こうして君に触れられる日が来るなんて夢みたいだ。」
あまりに愛しそうに呟かれては笑うに笑えない。
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