戦う!セバスチャン
□このままで
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君が好きだよ。
愛しくて仕方ないんだ。だから君を僕だけのものにしたくて、呪いをかけた。
…これで永遠に、僕のもの。
「デイビッド。」
「どうした、ユーゼフ?」
手を伸ばせば自らすり寄ってくる愛しい君。
これが僕の望んだ結果。
…なのに何故だろう。
何かが違う、何かが足りない。
「…デービッド。」
わざと発音を変えて呼べば、いつもは間置かず入るはずの訂正がない。
彼はにこりと微笑みを浮かべるだけ。
…ああ、これがその結果なのか。
僕だけを愛するようかけた呪いは、機械的な反応しか示してはくれない。
決して僕の言葉に逆らわない。
「君は、僕が好きかい?」
ずきりと胸が痛む。
「ああ、もちろん!」
その言葉も笑顔も所詮偽物でしかない事に。
心が操られた君はもう僕の好きな君ではないんだと、今更気づいても遅すぎるのに。
「お向かいサン?」
聞き慣れた声にがばっと顔を上げる。
視界に入った景色は見慣れたデーデマン家の休憩室で、飛び起きた僕を見て数回瞬きをしたデイビッド君は、無邪気に笑った。
作り物ではない、彼の笑顔に泣きそうになる。