戦う!セバスチャン
□君へ向かう
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気が遠くなる程生きているから。
たくさんの、出会った人達は僕を置いていった。
親しくなればなる程その別れは悲しいのだと、身を持って知っている。
なのに、僕は恋をしてしまった。
いつか別れる悲しさを知りながらその存在を愛してしまった。
止められない感情に戸惑ってしまうほど。
…一体誰が予想していただろうね。
「ようお向かいサン!」
用もないのにデーデマン家に足繁く通う。
まず休憩室。
そこを確認して姿がなければ厨房へ。
今日は休憩室に一人、彼はいた。
「やあデビー君。珍しいね、一人かい?」
お向かいの家にやってきたコック。
体も大きくて可愛いとは形容しがたいその彼に。
なぜか僕は惹かれているのだ。
「デイビッド、だ!お向かいサン。」
挨拶代わりのいつもの台詞。
それでも彼はいつだって嫌な顔はしない。
「でも残念だなお向かいサン。今ハニーはヘイヂと戦っている最中だぞ。B君達も連れてかれたし。」
デイビッド君はさっぱりと笑った。