戦う!セバスチャン
□最上級
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ある昼下がり。
一人休憩室でコーヒーを飲みながら手にした数枚の書類に目を通しているセバスチャンがいた。
そこへ音も立てずに忍び寄る二つの影。
「…何か用かロベルト、アルベルト。」
とっくに気付いていたという風にため息をつきながらセバスチャンは顔を上げる。
ばれてしまった二人は何事もなかったように笑い、持参した書類を差し出した。
「ご主人様から預かって参りました。」
「そうか。すまないな。」
書類を受け取り軽く目を通してから、彼は数回瞬きを繰り返す。
わざわざ持ってきてもらう程重要な内容でもなかったのだ。
しかしロベルト、アルベルトの主人はたまにこういう無意味な行動を起こすのだと承知していたので、気にしないことにして。
「それよりどうしてこんな紙一枚の為にわざわざ二人で届けに来たんだ?」
なかなか妥当な質問だった。
しかし二人はあっさりとそれに答える。
『今日の仕事はもう終わっていますので。』
「…ああ、なるほど。」
セバスチャンも納得せざるを得ない。
向かいの屋敷では、執事ピーターの仕事の半分以上が主人のユーゼフによって行われているくらいなのだから。
そんな構図は普通有り得ないがほんの少しうらやましくも思える。