SILVER DIAMOND

□4月1日
1ページ/4ページ

朝から千艸の様子がおかしい。
これは決してオレの勘違いなどではなく、明らかにおかしいのだ。


「千艸?」
呼ぶといつもは、優しい瞳がオレを見てくれるのに。
「羅貫…。」
なのに今日に限って困ったような戸惑ったような視線を向けてくるから。
…オレ何かした?
何か千艸の気にさわるような事をしてしまったのだろうか。
相手の気持ちが分からないのは不安だ。
けれど問い詰める勇気もない、なんて。
矛盾してる。
不安だらけ、先走る。

これじゃあ駄目だ。
今日も終わる頃にやっと決心がついて、千艸と向かい合う。
「千艸、今日どうしたんだ…?」

何故かそれだけで泣きそうな自分がいた。
ああ、オレはこの人に拒絶されてしまったらきっと立ち直れない。
そう思った。

「羅貫…すまない!」
「へ…?」
突然、本当に申し訳なさげに謝罪の言葉を口にした千艸に、オレは間抜けな声をあげた。

どうやらオレに対して怒ったりしてた訳じゃなさそうで正直ほっとする。
…が、ほっとしてばかりもいられない。

「えーと…それは何に対しての?」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ