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□一発
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「…大丈夫かデイビッド。」
嵐のようにやって来た奥様にロックオンされたデイビッドは、たった一発で沈んでしまった。
いくら奥様が並外れている言っても…デイビッドだってそれ以上には強いと思っていたんだがな。
「おーハニー!平気だぞう!」
床に転がっていたデイビッドを覗き込めば、けろりとした笑顔で上半身を起こす。
「一発KOの割に元気だな。」
「あれは演技だ!さすがに女性とは戦えないからなあ。」
言いながら殴られた箇所をさすっているが、確かに対したダメージはないようで。
…ちっ、心配して損した。
そのまま仕事に戻ろうとしたらデイビッドに声をかけられた。
「それよりハニー、これから俺の部屋来ないか?」
「は?」
「いやー、ハニーが一発やろうとか俺を誘うようなこと言ってたから。」
「そんなこと言った記憶は全くないが。」
この男はたまに全然事実と違うことを言い出したりする。
慣れているから冷たくあしらうんだが、デイビッドは俺の反応など見透かしたように笑う。
「な、ハニー。いいだろ?」
その笑顔に俺が弱いってこと、分かっててやってるんだろうなこいつ。
そしてそれが分かっていながら断れない、俺も相当なものだ。
「…この今日のノルマが終わったらな。」
仕事内容を書いた巻物を渡すとデイビッドは一層笑みを深める。
「じゃあ夜またなハニー!」
…中身見ないで何言ってるんだ。
もっと仕事増やしてやれば良かった。

デイビッドの後ろ姿を見送りながら自分の顔に笑みが浮かんでいることに気づいて、慌てて咳払いをしてごまかした。


END

奥様登場回のラストページを見て、とりあえずこんな妄想が広がりました(何)

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