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□あなたに
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「デイビッドさん、好きな食べ物って何ですか?」
ちょうど厨房に二人きりだったので、思い切って聞いてみる。
今までしていた話から何の関係もない話題だったけど、デイビッドさんは気にせず笑顔で答えてくれた。
「うーん。好きな食べ物か…Bくんよ、悪いが俺は好き嫌いがないんだ。というか何でも好きだ。」
「えっ、そうなんですか?」
「一応料理人だしな!」
コックだから好き嫌いないとか理由になってるんだかよく分からないけど…。
でも、残念だ。
デイビッドさんにはいつもすごくお世話になっているから、何かお礼をしたいと思ったんだけどな。
「じゃあ何か他にほしいものありませんか?」
食べ物なら気軽で重くないかと選んだけど、こうなったらそれ以外のものでもと聞いてみる。
「そうだなー、何でもいいなら一つあるぞう?」
「えっと…オレの給料で買える範囲なら何でも大丈夫ですけど…。」
「金額なら心配なしだ!」
それなら安心、とオレは安易に頷いたけれど。
直後、にっこりと笑ったデイビッドさんの言葉に顔をひきつらせるはめになった。

「Bくんがほしい。」
「…はい?」
………は?え?
まさかの要求にオレの思考は追いつかない。
…えっ何オレがほしいってどういうことだ?
いやいや生々しくなるから深く考えるのは止めよう、でもオレでいいなら金もかからないしよくないか?
いや待てそういう問題じゃないよな。
ぐるぐるとまとまらない頭で考えていると、ぽんと頭に手が乗せられた。
「…なんてな!今は思いつかないから、何かBくんが俺のために選んでくれないか?それが一番嬉しいかなー。」
…あ、気を使わせてしまった。
オレが振った話題なのに。
ああもうこの人は、いつもどうしてこんなに優しいんだろう。
愛しい気持ちが溢れ出す。
デイビッドさんが望むならオレはオレの全部をあげたって構わないって気持ちになってくる。
ためらったのが不思議なくらい、あっという間に覚悟は決まった。
「…分かりました。じゃあ楽しみにしてて下さい。」
デイビッドさんのために選んだプレゼントと一緒に、オレの全部をあなたに。


END

何か思ったより淡々としてしまった感が…!

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