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□ずるい
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ユーゼフ様の瘴気を浴びて今日もデイビッドさんの元に全力疾走。
どすんとその背中にくっつくと。
「アウチ!」
という声が聞こえた。
デイビッドさんは厨房で刃物や火を使うことが多いから気をつけなきゃと思っているんだけど、いざ逃げるとなるとそういった常識的な考えはすこんと頭から抜け落ちてしまうわけで。
つまり今日もまた、包丁を使っていたデイビッドさんに突撃をして怪我をさせてしまったというわけで。

「す、すみませんデイビッドさん…!」
中和のために背中にぐりぐり抱きつきながら言っても誠意は見えないだろうけど。
「このくらいノープロブレムだB君!」
でもデイビッドさんはいつも明るく許してくれる。
だから甘えてしまうんだけどさ…とその手を見ると。
「デデデデイビッドさん!」
「ん?」
「手!」
今日はいつもより深く切ってしまったのか、血がだらだら流れている。
これで何ともないみたいに笑ってるとか!
「ああ大丈夫大丈夫。」
「いやでも、それ…!」
見てるオレの方が痛いっていうか、絶対大丈夫のレベルじゃないと思うんだけど。
「うーん…じゃあやっぱり大丈夫じゃないかもなあ。」
何だか変な言い方だけどやっぱり痛いんじゃないか!
でもデイビッドさんは相変わらず笑顔のまま。

「でも俺が怪我したとき、B君がキスしてくれたら大丈夫だと思うんだけどな?」
にっこりと。
それはもう爽やかにデイビッドさんは言った。
「な…!」
「ダメか?」
いやまず何かおかしいだろその条件。
でもいつも怪我させてしまっているのは事実で、いつもお世話になってるのも事実で。
デイビッドさんのために何か出来ることはないかと思ってたりしたんだけど!
「B君、嫌か?」
…ああこの聞き方はずるい。
「…恥ずかしい、だけです。」
「可愛いなーB君!」
そんな風に言われたら、そんな顔されたら。
嫌だなんて言えるはずがないのに。

END


「…デイビッドさん、腹黒疑惑があるって知ってます?」
悔し紛れに聞いてみると、デイビッドさんは笑顔で首を傾げた。
「んー?別に、事実だから俺は気にしないけどな!」
という感じの文章を続けて腹黒いデイビッドを書こうとしたのですが…。
これじゃ普通にいちゃついてるだけじゃんっていう。
とりあえず早くデビの手を何とかしてやって下さい。

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