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□いい夢を
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中庭に降りると、B君は木の下に横になって眠ってしまっていた。
もう夜も遅いし疲れたんだろう、色々と。
「泣かせたい、わけじゃなかったのに。」
彼の頬に涙の跡を見つけて胸が痛む。
泣かせたいわけじゃない。
自分の姿を見るたび逃げてほしいわけでも。
ただ、僕はただ君と――。

たまらない気持ちになって彼の頬にそっと触れる。
長いまつげに溜まっていた涙をそっと拭ってやれば瞬間、眉を寄せて苦しげだった表情がふっと和らいだ。
――抱きしめたい衝動に駆られたけれど、ここでそんなことをしたらまたB君を苦しめるだけだと分かっているから。
代わりに毛布を出してその小さい体にふわりと掛ける。
「…ごめんね。」
聞いていないと分かっているときにしか言えない自分は卑怯だろうか。
ごめんね、B君。
せめてどうか、いい夢を。


END

中庭で寝てるB君に、どこかの誰かの優しさの毛布をかけてあげたのはユーゼフ様に違いない!
という妄想で書いてみたものです。
というかでもあれユーゼフ様以外にいないよね、毛布。

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