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□不和が広がる
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「動体視力は関係無いんじゃないかな」
「そんな事はねえさ。早いものを見慣れてるってーのはかなり戦闘には有利になるかんな」
「そうですよ。現に僕たちは玲子さんに敵いませんでしたし」
反応が早いのは、確かに戦闘には有利だ。
それは嘘ではないし、自分たちも見習わなければならないところだ。
玲子は元々反応は早い方だ。しかしその反応の速さをより洗練されたものに磨き上げてくれたのは神田だ。
鬼のように手合わせを繰り返し、ダメ出しをされ、切磋琢磨し合ってきた二人だった。だからこそ、今の現状は二人にとっても、周りの人間にとってもあまり良い状況とは言えなかった。
良くない空気は任務にもそれらは響いてくるのだ。
(言いたかねえが、並みのエクソシストの中での戦力では上位といっても過言ではないからな、こいつらの場合は)
そんな二人がこじれては、戦力ダウンに繋がる。
教団にとってもそれは痛手であり、避けたいところだろう。
(ま、俺たちはそういう意味で言ってるわけじゃねーけどさ)
「これから玲子には、イノセンスを知ってもらわなきゃなんねぇし、自在に扱えるようにもなってもらわなきゃなんねぇ」
一度教団に最悪のレッテルを貼られている玲子は、自由に身動きがとれないのは事実だ。
一度抱かれてしまった不信感は、そうそう簡単に拭い去る事は出来ない。
教団全体、ましてや、ルベリエに目を付けられてしまってからでは遅いのだ。
不信感を抱かせないためにも、教団へ貢献している姿勢を見せなければ、玲子の立場が危うい。
今はまだ大丈夫であっても、確実に不和は広がってきている。
これ以上広げないためにも、今ここで食い止めなければならない。
これ以上、玲子を悲しませたくない。
「俺達で出来る事があれば何でもするから、いつでも言ってくれさ」
いつもの笑顔を浮かべ、ラビは言った。
知ってか知らずか、玲子はそんなラビを見て、くすりと笑う。
『ラビは忙しいでしょ?』
ブックマンになるんだから、と、自分のさがを指摘し、浮かない表情をした。
『あたしと一緒にいたら、何か変な疑いを持たれちゃうかもよ?』
と、半笑いで冗談半分に言う玲子。
自分自身に皮肉を言っているようにしか見えなかった。
「玲子さんは普通ですよ?」
至極当然のように、それまで黙っていたアレンが口を開いた。
「玲子さんのどこがおかしいんですか?強くて優しい、玲子さんはいつだって周りを優先する優しい人じゃないですか」
どこがおかしいんですか?
と、真面目な顔をしてアレンが言う。
彼女は優しい。
今だって、僕らを案じて離れるよう促した。
自分が偏見を持たれているのは分かっている。だけど一緒にいる人たちは関係ない、と遠ざけてそれを証明しようとしていた。
でも僕はそんな事したくない。
「玲子さんが優しいっていうこと、僕は知ってます。僕だけじゃない。玲子さんと関わった人たち皆知ってます。自分から一人になろうとしないでください」
僕たちはあなたの味方なんですから。
「玲子さんはおかしくなんてない。普通です。大丈夫、きっと大丈夫ですよ」
教団全体を敵に回している。そう思いこんでいてもおかしくない今の状況を、アレンは自分と重ねながら見ていた。
行動を監視され、疑われ、嫌な視線を浴びる。
それがどれほど辛い事で、苦しい事で、身動きがとりにくい事か、実感しているからだ。
だからせめて、彼女だけでも少しはまともな環境に戻してあげられたら、とアレンは願わずにはいられなかった。
エクソシスト以外にもきっと味方は現れる。
そう自分にも言い聞かせながら…。
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あとがき
更新にだいぶ間が空いてしまいました。
お久しぶりです。
楽しみにしてくださった方、本当にありがとうございます。
長らくお待たせしてしまい大変申し訳ございません。
17巻部分終わってなかった。
7月にD.Gアニメ化すると聞き、途中でも良いから前祝いを…!!と思い急いで打ちこみました(笑
なのでもしかしたら誤字脱字、誤変換があるかもしれません。見つけたらこっそり教えてもらえると嬉しいです…。
ゆっくり更新になりますが、次回あたりからサードと絡めたり、ティモシー編を書けたらな、と思っています。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
次回も頑張ります!