story

□虚ろ眼
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「簡単に説明してやるよ」



玲子のアクマ化が始まったのは、二年前だ。

ある任務で、鉄を操るアクマがいた。そいつはダークマターを鉄に込めることが出来たらしい。アクマのウイルスとは違い、人は全て消えてなくなるというのとは少し違った。

小さな塊を残して、人は消えていたらしい。その小さな塊というのが、そのアクマによって作られた微量のダークマターを含んだ鉄。

普通の人間は、それを受けたらたちまち消えてなくなってしまう。


だが、そこに例外な人物がいた。


「…!」

「…気付いたか」



その例外の人物が玲子だった。
千年公は、消える人物として噂された玲子を探していた。理由は分からなかったが、特殊だということを俺達は聞かされた。


「…カーフェイっていうアクマを知ってるだろ?」

『!!』

「…そいつッ」

「そいつの能力は鉄を変換させることだった。さっき言ったから分かるだろ?

玲子はダークマターを取り込んだんだ」


普通なら、取り込んた瞬間消えるはずだった。だが玲子は千年公の言った通り特殊で、ダークマターを取り込んでも生きていられた。


「…同化を行う毎に、ダークマターの濃さは増していく。そしてそのダークマターは生きている玲子の魂と結び付きはじめた」


同化の威力を増強させるために、俺は千年公からダークマターの結晶を手渡された。それを玲子に渡して、同化の威力を強めた。もちろん、同化をするごとにその結晶は使った分だけ小さくなっていく。

俺もアクマ化を手助けしたんだ。


つまり、コイツは自分の魂にダークマターを取り込む事が出来る体質らしいという事。

例えば、死んだ人間の魂が見えるのが少年だとする。憐れな魂は少年には見える。だが、生きている人間の魂は見えないだろ?

だから玲子のは感知するだけで、魂自体は見ることは出来なかったんだ。玲子は生きてるからな。

ただアクマの気配を感知するだけ。これまで言えば大体心当たりはあるだろう?少年。


「少年の腕は正しく機能していた。アクマを破壊しようと、本来の役割を果たそうとして、な。

だからもう分かっただろ?
玲子はアクマ化してんだよ。アクマを破壊しようとして当然のように少年の腕は勝手に動いた。結果、玲子を傷付けた」


それだけだ。
だから、証拠は全て少年が持ってたということだ。


そしてその進行は今も続いてる。近いうち、コイツは生きるアクマになる。

そうしたら敵同士になるな。


それから、玲子の傷が開いたのは、アレンのイノセンスの粒子がまだ玲子の体内に残り、アレンが近付いた事により活発化し、玲子の体内のダークマターと反発しあったため傷が開いた。

少年は玲子に近付くな。傷が開く。


「失明の理由は、イノセンスがダークマターの力を相殺しているから。だからイノセンスの力は弱まり目が見えなくなった。
変わりに、寄生していた目の役割を果たそうと、影の能力に目覚めたってわけ」


これは全て真実なんだよとつけたす。今度は誰も否定することはなかった。

アレンもラビも。ティキの言ったことに心当たりがあったから。



こんな、アレンやリナリーとは違った異例など、聞きたくはなかった。



「…話しは終わりだ。ロード、そろそろ少年から離れてくんない?」



煙草に火をつけ、ゆっくりと立ち上がるティキ。吐き出した煙は広く拡散していった。






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あとがき

こんにちは、八雲です。

ようやくこの回書けたー!!ずっとずっと前から考えてたネタ!連載当初から温めてたネタと言っても過言ではない感じです。
前々に引いていた伏線を一気に拾った感がします。書けてスッキリ!

さてさて、夢主の実体が明かされました。夢主、まさかのアクマ化。エクソシストとして教団に残るのか、はたまた教団を裏切ってノアにつくのか。
アレン達とはどうなっていくのか、楽しみにしていただけたら嬉しいです。

それでは!読んでくださりありがとうございました!
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