story

□虚ろ眼
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「…冗談だって。それより何してんの、座って」


戦う前に話しがあるのだというが、誘った食事は断られた。食事はゆっくりしたいというアレン達に、今この塔以外のことを知らせる。
ロードはテーブルに腰掛け、外は絶景だと伝える。今、ここに残っているのは、この塔のみ。他は全て崩壊したのだった。


「座りなよ」

「座れよ、エクソシスト。恐ろしいのか?」


足で扉を蹴り閉ざすロード。アレンを中心に全員椅子に腰掛ける。


ふと、視界に入る玲子。
方舟で再会した時の団服は着ておらず、白いワンピースを着ている。いつもは高い位置で結んでいる髪型も、今は下ろされている。

そのせいだろうか。

まるで別人のように感じる。
たまにコムイの悪戯で変な格好はされていた事があったが、こんな女性らしい格好など滅多に、いや今まで見たことが無い。

黒い服しか着ている所しか見なかった自分達には、この白いワンピースは眩しく感じる。


「どうした、少年。」


そんなにこいつの格好が珍しいか?
そう問い掛けるティキに、何も返す事が出来なかった。アレンだけではない。ラビも、リナリーも、玲子の姿に見惚れていたのだ。
普段しない珍しい格好、似合うけれど、見慣れないせいか戸惑ってしまう。


それに、この違和感。
囚われてしまって、ようやく会えたというのに、一切こちらを見ようとしない玲子。

普通なら、安堵するか駆け寄ろうとするか、何かしらの行動をするだろう。
なんだ?このよそよそしい感じ、は。


「(一体、どうしたんさ…玲子…)」


玲子の様子を見ることしか出来ないラビは、きつく拳を強く握り締めた。



「さて、やっとゆっくり話せるようになったな少年」


ティキはずっと気になっていたアレンの左腕に話題を振った。壊したはずのイノセンス。けれどそのイノセンスをアレンは持っている。
衝撃的だった。

まあ、玲子の事もそれなりに衝撃的だったが。

ティキは何やら嘘っぽい笑顔を浮かべている。それにロードが、アレン達を見てニヤニヤしている。


「アレェ〜ン、良い事教えてあげようか?」


テーブルの丁度真ん中に腰掛けていたロードは、そう口を開くとアレンの方へと歩んでいった。


「…良い事?」

「そぉ、良い事ォ」


ロードはエクソシストにクルリと向かい、何かと思い聞けば、衝撃的な言葉を発した。





「玲子はもう人間じゃないよ」





ロードは、確かな口調でそう言っていた。きちんと聞き取れたはずなのだが、何を言っているのか分からなかった。


「…それは、どういう事…?」


ロードの言葉が理解できないリナリーは、気付かぬうちにそう聞き返していた。

玲子が人間じゃないって、どういう事…?
まさか、実は玲子はノアだった、とか?だからノアが玲子を追うようになっていたの?仲間として玲子を迎えるために…?

でも、玲子にはイノセンスがある。イノセンスを扱えるノアなんて聞いたことが無い。だって、ノアの弱点はイノセンスだから、それは有り得ないことだから。

それでも玲子はノアなの?





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