story
□虚ろ眼
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ちょっと待て。話しの展開が早過ぎて、よく分からない。
。
「可哀相にねぇ。誰のせいだと思う〜?」
『ロード!』
手を触れられる事を拒んだり、顔の下半分しか見えない仮面は、見えていない事を隠すためにしていたのか。
「…そんなっ、」
「ねぇ、誰のせいだと思う?」
『ロードッ!!』
「わかんない〜?じゃあ、教えてあげようかぁ?」
やめてくれと玲子が叫ぶが、ロードはやめようとはしてくれなかった。悪戯を楽しむかのように、皆の反応を見ていた。
「ぜぇ〜んぶアレンのせいなんだよぉ?」
「……え…」
『やめてロードッ!!』
僕の、せい?
「アレン、騙されんな!」
そんなこと、言われたって、
信じてしまう。
だって僕は、言われるようなことを玲子さんにしているから…。
「…僕の、せいで…?」
「そうだよアレン。アレンのせいで玲子は目が見えなくなっちゃった。 アレンのせいでアクマへの進行が早まっちゃったんだよォ?」
『違うから…っ、アレンのせいじゃないから!あたしが弱かったから、それだけなの!アレンのせいじゃない!全部あたしが弱かったからなの!』
だからアレンは関係ないと、喉が裂けるくらい大きな声で否定した。でも、それはアレンの頭には入っていなくて…。
アレンは頭を抱えてうなだれてしまった。
「…僕は」
謝りたいと、思った。
傷付けてごめんなさい。
弱くてごめんなさい。
許してほしいとは言わないけれど、せめて、あの時のことは謝りたかった。
でも、でも、そんなことだけでは取り返しの付かないことを僕はしてしまった。
謝ることなんて、もう無意味でしかなくなっていた。謝るだけでは済まされなくなっていたことに、気付きもしなかった。
「…玲子さん。僕を、恨んでますか…?」
『そんな訳無い!』
「…でも、苦しかった、ですよね…」
ごめんなさい。俯いたまま、あなたに謝ることを、許しください。
だって、目の見えていないあなたを見るのは、つらい。
無責任なことを言っているのは分かっている。けれど、何も写らないあなたの目を見て、苦しくならないわけ、ない。
僕のせいなんだ。
「アレン…」
アレンのせいだと決まった訳じゃない。証拠だって、まだ何も無いじゃないか。
ノアに嵌められていると言うなら、自分がしっかりしないといけない。
「…納得してない顔だな。眼帯くん」
「…当たり前さ。動機がねぇ」
「そうだな」
いつの間にか食べ物を口に運ばなくなったティキ。
「言いたくないんだが」
「…何だよ」
「…もう手遅れなんだよ」
何度も、傷付けまいと言ってきた。それを拒んだのは玲子。拒んだが故に、結果がこれだ。
俺が、ノアで信用できないってのもあったがな。千年公の手伝いをしていたから、信用されないのはあたりまえだがな。
「…証拠は、少年の左目って所かな」
「なんだと?」
「少年の左目はアクマを感知することが出来るんだろ?
何も無いとき、もしくは玲子が近くでイノセンスを発動していたとき、目が疼いた事はなかったか?」
「……!!」
ティキのその言葉の返答に、言葉が詰まった。
だって、そういう事、確かにあったから。
「反対に、玲子は少年の目を恐れたことがある。…そうだろ?」
玲子もラビも、黙り込むことしか出来なかった。ティキの言っていることは外れていないからだった。
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