story

□血狂い
2ページ/5ページ






「来い…っ命が尽きるまで戦ってやる…っ。マナとの約束だ…っ!!」


アレンがティキを待ち構える。
ティキはようやく、その手から玲子を手放した。

その瞬間

アレンのすぐ下、地面に陣のようなマークが表れ、その地面ごと吹っ飛んだ。不安定な浮遊感が身体を包む。


「なんだこの汚ねぇガキは」


片足をガシリと捕まれ、逆さ吊りにされるアレン。その光景から目に入ったのは大きく、まるで柩のような対アクマ武器。


「(てことは…)」


「なんだその嬉しそうな顔は。
おとそうか?」


地面に落とされたアレンが呆然とした。ティムキャンピーまで一緒にいる。今まで探していた自分の師匠がそこに突然現れたのだ。

ジロリと見られビクつくアレン。さらに衝撃を与えたのはクロスの行動だった。

手を差し延べている。
アレンは恐ろしく思いながらも、その手を取ろうとしたが、クロスはアレンの襟首を掴むと思いっ切り振り上げた。

汚いの大ッキライというクロスの男の扱い方は、酷いものだった。


そして、正気を失っているティキを見付けると、クロスは対アクマ武器の聖母の柩を解除する。聖母ノ加護をかけ、ティキからアレン達の存在を消した。異変に気づくティキに近付くクロス。

右足に下げている銃を取りティキに向ける。

装備型の対アクマ武器、断罪者。


その銃から繰り出される弾にティキば貫かれた。一方的に攻撃されるティキは、弾を外すだけで精一杯だった。

しかし悠長に攻撃をしてはいられない。崩壊の時間が近いからだ。

クロスの弾に倒れるティキ。とどめをさそうと銃を構えると地盤が崩れバランスを崩した。体制を立て直し再度銃を構えるクロス。そしてその先の視界を意識した。


「これはまた」


クロスの先に立っていたのは、白い服を身に纏う千年伯爵。


「こんばんワv」

「よぉ、相変わらずパンパンだなこのデブ」


肩にはティキが担がれ、その隣に、玲子が立つ。
二人は何年振りかにあった以来。しかしクロスの口調は千年伯爵とはよく会っているかのようだった。
クロスは千年伯爵のトロイ話し方につきあう隙はないと銃を放つ。


「冷やかしならでていけ」


まるで自分のものといわんばかりに言うクロスに伯爵は笑う。
だが、14番目のノアの呪いがかかったこの舟は捨てたのだろうとクロスが言うと、伯爵のその顔は狂気に包まれていった。


「…その女は何だ」


伯爵の後ろに控えて立つ玲子の姿をクロスは見逃しはしない。銃を構えたまま、その銃口は玲子に向けられる。


「この娘は我輩の可愛い生きるアクマちゃんデスv」

「なら破壊するまでだな」


ジャキッ、と構え直し引き金を引こうとする。


「…師匠!止めてください!その人は…っ」

「アラアラ、クロスちゃんに出来ますカ?では、試運転も兼ねてやってみましょうかネ∨

…起きなさイv」


パチン、と伯爵の指の音が鳴る。
玲子の足が一歩、前に出る。


「ここにいるエクソシストを滅ぼしなさイv」

『はい』

「…女でも、アクマならしかたねぇな」

「止めてください師匠!!」


ドンッ

一発の銃弾が玲子の額を狙う。


「ホッホッホッv」

「!?」


頭を貫いたはずの玲子は、倒れることなく平然とそこにいた。
これは期待以上だと伯爵は喜び、クロスは不自然さを感じた。


「…おいアレン。あの女を知っているのか」


銃口を向けた時、アレンは制止ばかりしていた。敵に情けをかけるなとしつこく言ったはずだ。





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ