story

□血狂い
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「…知っている奴なら言え」

「…でも…」

「いいから早くしろ!!」



てめぇから打つぞと銃口を向ければ、ヒィ!と驚き分かりましたと言うアレン。


「…あの人は、玲子さんっていって」

「んなこたぁ聞いてねぇんだよ!あいつは何者で、どういう能力だって聞いてんだ」


それを聞けば何かしらヒントは見つかるだろう。アレンの言葉を待つクロスは目を玲子に向け、それだけを考えていた。

そのうち、アレンは玲子について話し出した。


「…あの人は、エクソシストです。寄生型の対アクマ武器を持つ、僕達の仲間で…」


伯爵によって、生きるアクマにされてしまった。彼女のアクマ化を止めていたティキも、以前とは違う人となり、彼女のアクマ化の進行は進む一方。
でも、それでもさっきまで、意識を保っていた。

まだ完全にアクマ化はしていないはず。


「…それならカルテ・ガルテでなんとか出来るか」

「…お願いします、師匠。彼女を、玲子さんを助けてください…」


クロスは断罪者からマリアに変え、玲子にカルテ・ガルテをかけようとする。

だが、目の前には伯爵とティキの姿したなかった。


『…ふっ!』
「!?」


一気に間合いを詰め、クロスに刃を向ける玲子。クロスは銃でその刃を受け止める。クロスの力には押される玲子は一度後ろへ飛び、間合いを取る。

これだけの間合いなら、銃で撃てば必ず当たる。出来るだけ致命傷にならない程度の所へ銃を向け、銃弾を放つ。


「ししょ…っ!」


慌てるアレンも気にせず、クロスは玲子に銃を放ち続ける。


「…チッ」


銃弾の煙幕の中、玲子は平然と立っていた。


『くふっ…』


ニヤリと笑う玲子。
腕の刃がギラギラと光り、閃光のようにクロスを切り付けた。


「…っ!どうなってやがる?」


確実に当たっているはずなのに、なぜ平然と、しかも“無傷”でいられる。訳がわからない。


『…驚きでいっぱいですか?クロス元帥』


にやりと口角をあげる玲子は、再びクロスとの間合いを詰める。鋭い剣の嵐がクロスを襲う。その動きは、アレンを襲った時とは遥かに速い。本気をだというのが分かる。
クロスは致命傷にならないように攻撃を回避するので精一杯だった。


「とんだじゃじゃ馬だな」

『よく言われます。まだ余裕があるんですね』


ニコリと笑顔を作る。


『それなら、取っておきにこちらをプレゼントしましょうか!』


玲子は、ダークマターの力が勝っている今の状態ではありえない事をした。

イノセンスを使って、大量の莫を作り上げたのだ。


「…!まさか、そんな?」

「師匠!それは気をつけてください!」


アレンとリナリーは、玲子がイノセンスを使った事、あの莫の多さが尋常ではないことに驚いた。


『防ぎきれるかしら?いい声で鳴いてねっ!』


行け!と指令を出すと迷いのない真っすぐな方向でクロスに向かう。


「…ぐっ!」

『あっははははは!楽しい!』


ぽたり、ぽたりと血を流すクロス。それを見て楽しむ玲子。銃弾は当たらず、攻撃を受けるしかできない。


『不思議でならないって顔ですね』

「種明かしでもしてくれんのか?」

『構いませんよ?』


タンッ、とクロスの元へ向かうと、一つの莫を作りクロスの目の前に。


『これは莫といって、何でも消してしまうんです。…例えばこの瓦礫とか、』


玲子は莫を地面に押し付けると、その莫が触れた部分は莫の象る円形に消えた。




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