story

□舞曲廻る
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アレンとティキの戦いが始まる。リナリーとチャオジーはロードによってサイコロ状の空間に閉じ込められていた。

ロードはラビが勝ったら二人を放すという条件で、今ラビは自分と戦っている。そして、ロードはレロの上に立ち、その状態を楽しそうに眺める。


「ラビ…」

「エクソシストさまっ!」

「ブックマンは僕と遊んでんのォ〜」


クスクスと笑うロードに、レロはノアの中で一番怖い能力だと言う。心配するリナリーとチャオジーだが、ラビの意識は戻るはずが無い。ロードはその様子を見て、ニヤリとした。


「リナリーはやっと玲子と再会したんだからさぁ、もっと喜べばぁ〜?」


もっとも、あまり喜べないのは分かるけどね。
リナリーはチラリとロードの近くに立つ玲子の姿を見る。目は虚ろで、何も写していないのが分かる。

…本当に、目が見えないんだ。

普通に視界に入る所に自分達は捕らえられているのに、気付いていない。目が見えないから気づくはず無いんだ。


「…玲子」


名前を呼べば、ピクリと反応をする。


『リナリ…』

「…っ」


どこにいるの?

そんな声が聞こえてきそうで、切なくなった。

私はここにいるよ。
近くに、玲子の近くにいるよ。そんなにキョロキョロして探さなくても、目の前にいるんだよ。


「…玲子ッ」

『…っ!』


本当に、あなたはアクマになってしまったの?そうしたら私たちはどうしたらいいの?

あなたを、殺さなきゃいけないの…?


そんなの、いやだっ!


「玲子、頑張って…。ここから出よう。私、元に戻る方法、一生懸命考えるから…!」


だから、諦めないで、


「視力だってきっと元に戻してみせる…。アクマ化なんか絶対にさせないから、だから、お願い…!」



…裏切るなんて、絶対しないで…




『…リナリー…』

「私…、玲子にたくさん勇気付けられてたの」


どんなに恐ろしいことがあっても、決して仲間を傷つけるようなことはしない。いつも自分のことは後回しで、私達を先に考えていてくれた。

強い意思を持っていて、揺るがない心は本当に格好良かった。守ることが出来るなら、自分の身さえ犠牲にしても構わない、そんな貴女だから。

私は、貴女が大好きなの。

心配も絶えない。けど、大切だから。貴女に守られてばかりはイヤ。


「今度は私が守るから。だから、」


そんな辛そうな顔、しないで。

こういう考え方、玲子が教えてくれたんだからね。
仲間を救いたいっていう気持ち。諦めたりしないこと。全部よ。

玲子が教えてくれたんだ。だから私も諦めないよ。


「一緒に帰ろう…?玲子」

「リナリーさん…」


リナリーのかける声に、複雑そうな表情で見ていたチャオジー。



そこに、大きな衝撃音が鳴り響いた。リナリー達の入っている決界にアレンが背中を打ち付けていたのだ。

ロードはアレンをボロボロにし過ぎとブーイングをする。

壊れかけている腕。吐血するアレン。それでも、強い心でイノセンスを自己修復していく。
扱う人であるエクソシストの心。それがイノセンスと繋がり、大切なものが有る限り砕けないといった。


ティキは、自分の身体の違和感に驚く。束ねていた髪は解け、無造作に落ちる。


「(一瞬体が…死んだ感触がした…?)」


イノセンスの気に押されたせいか。


「貴方達は人間をナメすぎてる」


アレンの言葉に、笑い出すティキ。ティキが切れたことに気付いたロードは、立ち上がり天井近くまで昇った。




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