story

□舞曲廻る
6ページ/6ページ






加減無しにイノセンスを解放するラビは炎の中にいる。


「…悪いな…さよならだ」


自分自身に攻撃してしまう。結果的にこうなった事には後悔はない。ただ、心残りは玲子を救えなかったこと。出来ることなら最後にもう一度、玲子の笑顔が見たかった。


『……ラ…、ビ…』


微かに、聞こえた。
声が聞けただけでも、十分。

玲子。


炎がおさまり、焼けた塊だけが残っている。


〈レロロ…ロートたまは…〉


やっと動いても平気だとわかると、レロは辺りを見渡してロードの姿を探す。ピシッと音がなり、その音は割れていく音に変わる。その音と同時に、頭上の方から何かが落ちてくる。


〈ロッロートたま!!〉


ドサリと落ちてきたのは、ラビの炎で焼かれた黒焦げに変わり果てたロードの姿だった。


〈レロロー!?ロートたま?!〉


ティキがやられてしまったのに、頼みの綱であるロードまでやられてしまった。レロは脱出しようにも、そのような力は備わっていない。担いでどこかに逃げることさえ出来ないのだった。


ノアはやられ、ラビもあの炎の中にいたとなれば、ただでは済まされないだろう。焼き跡にリナリーが駆け寄り、二人の生存を確認する。ラビはアレンに助けられ、リナリーの鉄拳を受けるはめになった。


「あはっははは!」

「!ロードッ」


焼けたロードは立ち上がり、大声で笑う。消え行く間際にアレン、と囁くと、跡形も無く消え去ってしまった。
ロードが消えたことに絶叫するレロ。なぜ爆笑したのかは疑問だが、さらにまた疑問が浮かび上がる。

ロードが消えてしまった。

出口は、ロードの能力で作った扉。


「あ゙あ゙ーーっ!!!」


こんなに派手にボロボロにして、扉は残っているのだろうか。
そんな心配をしつつも、ラビは急いで上へ向かい、扉の存在を確認していく。

地震がし、ここの崩壊ま始まった。


「(30分も無いだろうな…)」


なにか考え込むアレンに気付いたリナリー。その考えを言い当てれば、さすが、といって笑う。リナリーは再び鉄拳を飛ばし、アレンへ打ち込んだ。

アレンは、今一番動けるのは自分しかいないから、どうにかして神田とクロウリーを探して行きたいと言った。



リナリーとチャオジーをとりあえず上まで引き上げる。視界に入ったのはティキ・ミックとレロ。そして玲子。


「…!」


アレンはイノセンスを発動し、もはやただの人間となってしまったティキと、レロを助けに行くという。

アレンは聞き逃さなかった。


『…ぅ…』


玲子の微かな声を。

まだ息はある。助かるんだ。
崩壊が進む塔。アレンは彼らの元へ行こうと急ぐ。背後に、鋭い視線を感じながら。






===============
あとがき

方舟編、早めに終了しそうです。
もう少しリナリーとの掛け合い入れても良かったかも…。アレンと戦う夢主は、精神的にジワジワと攻めている、という風で少し怖いかもしれません。ちなみに、アレンと戦っている夢主は別人格になっています。


ありがとうございました!
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ