□謡われた魔術師
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〈…一度に話しすぎたか…〉


確かに、こんな重要なことを一度に言われたら思考回路などショートするだろう。混乱してまともにはなしなど出来はしない。

今までカミサマと思っていた人物は、実は魔術師で。

適当に決められただろう異世界者の人選だと思っていたら、始めから選ばれていた、なんて。

イノセンスが魔術に反応して、その魔術が全体に作用して、主に魔眼に影響を及ぼしていて。

全体に作用した魔術はダークマターにも反応して、そのせいでダークマターを取り込みやすくなったとか。

複雑に混合して存在する体内。

ノアの血を飲まされた事で、赤い目のイノセンスが反応し、赤い目はガーネットを目覚めさせようと働きかけ始めている。

ガーネットの意思が完全に目覚めたら、その時はどうなる、とか…。


『もし、ガーネットが目覚めたら…どうなるの…?』


伯爵はガーネットを欲している。伯爵が欲するということは、ノア全体が欲する事と同じだろう。


〈…もしお前が、ガーネットに完全に目覚めたら、あちら側の人間になるってことだ〉

『あ…ちら側…』

〈つまり、今までの人格、記憶、全てがガーネットによって消去され、完全に教団側と敵対する人間に変わってしまうって事だ〉


目覚めれば最後、教団はお前の敵になる。今まで守ってきたものが全て一瞬でなくなる。


〈…だからあいつは、クロスはお前にそいつを渡したんだと思う〉


オドは、玲子の手の平にちょこんと乗っている紅いゴーレムの存在を知らせた。


〈昔からあいつは何手先まで読んでるのか分からないくらい鋭い奴だからな…〉

『クロス元帥…』

〈そこまで考えてもらえて良かったな〉

『…うん…っ』


小さな紅いゴーレムをギュッと抱きしめて、玲子は苦しげに顔を歪めた。
悲しみ、苦しみ、戸惑い、どのような形容が当て嵌まるかも分からない気持ちでいっぱいだった。



〈…俺も、そろそろ……〉


ヤバくなってきたからなぁ。

それは聞こえないように、オドは玲子の中から存在を静かに消した。





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あとがき

終わった…。書きたくても書けなくて一ヶ月一回更新が出来なかった。

とりあえずは17巻終了です。
時間軸としては、アレンとの面会後に、クロスに呼び出された玲子。という感じです。

さて次からはオリジナルに入る、かな?
ここまで読んでくださりありがとうございました!
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