□続・騒動事件
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「ガルルルルッッ」


婦長の声が酷いことを心配したミランダは、風邪かと体調を伺う。そのミランダの首筋に、あろうことか婦長は噛み付いた。どよめく周囲に、婦長の行動に驚くミランダ。そして、徐々に体に変化が現れてくる。


「ミランダ?少し心音がおか…」


と、言いかけたマリに、今度はミランダが首筋に噛み付いた。予想外のミランダの行動に驚く面々。あの音無やかなミランダが、このような行動をとるなんて誰もが思わなかった事だったからだ。
勿論それをされたマリはショートする。


『ミランダさん、大胆…』


それを見て玲子は唖然。

ショートしたマリは様子がおかしくなっている。
しかし、様子がおかしくなっているのはマリだけではなかったようだ。


『…なんか、目がいっちゃってる』


先ほどまで正常だった人達でさえ、ゾンビのようになっていた。


――…ヤな予感

正気を失った目をした仲間達に囲まれ、予感は的中。
ゾンビのような動きをする仲間達が襲い掛かって来たのだ。


『いぎゃあああああ!!?』
「玲子さんっ、こっち!」


襲い掛かって来るゾンビ集団から、イノセンスを発動して正常な人達を守るアレン。
そしてそのゾンビを振り払い、脱兎の如く逃げ出した。

まるで獣のように叫び声を上げて教団内を駆け回るゾンビ集団。その集団を、ある小部屋の窓から恐る恐る覗き見る三人、アレン、神田、ラビ。

ダッシュしたおかげで体力派ではない科学班は息切れが激しい。


『…大丈夫?リナリー』


神田とブックマンを抱えて、その後は男共に合わせて走ったのだ。この中では唯一の女の子。野郎に合わせて走ったため、疲労は科学班並にあるだろう。
そう思って声をかけるものの、リナリーは「ニャー」と返すだけ。


『そっか、忘れてた』


玲子はリナリーが今、猫語しか話せないことを忘れていて、普通に話し掛けていた。
クスクスとリナリーと玲子が笑う中、この訳の分からない状態にまた敵襲かと真面目にしていたのはリンクただ一人だった。


「これはウチの巻き毛が関わってる気が…」


と息も切れ切れな科学班は直感で答える。



「噛まれると傷口から感染してああなっちゃうから気をつけて」

「感染だぁ〜?」

「なんでそんなことわかるんです…」


「ボクが作ったウイルスだから」


どうやら、科学班の直感はどんぴしゃのようだった。


「確保ぉ!!!」


リーバーの掛け声とともに飛びつく人々。取り押さえて縄を用意し縛ろうと試みたが、新型コムリンEXにより返り討ちにされてしまった。返り討ちにされたこちらは縄どころか、鎖で縛り付けられる始末。
玲子も例外ではなかった。


「ニャニャニャー!(皆を放して兄さん!)」


皆を放せというリナリーの言葉の変化に気づいたコムイ。


「キミ達ボクのリナリーで一体何のプレイをッ…!!」


怒りをあらわにするコムイは、EXの銃口をジャコンと向ける。その姿は妹狂らしい、怪しい空気を纏っていた。


「不可抗力だ!!」
「これにはメンドくさい訳が」

『被害者はリナリーだけじゃないし』


確かにいろいろと面倒な理由があった。その原因は科学班にあり、コムイにもある。だが悲しいことにコムイはまるで聞く耳持たずであった。


「シャラップ!小さいことに一々言い訳は聞かないよ。だいたい何だい君は!僕のリナリーと親しげに話して!」

『…はい?』


え、そこ?と話を振るコムイの言葉にキョトンとする玲子。


「ニャ、ニャニャー(兄さん、その人は)」

「新顔のくせにリナリーとイチャイチャ近付くなんて百億年早いわー!!」


そこへ直れ!成敗してくれる!!とコムリンの銃口をまた向けられる玲子。暴走したコムイは止まらない。


「コ、コムイさん落ち着いて…」

「落ち着いてなんかいられるかい!?こんなどこの馬の骨とも分からん男なんかに僕のリナリーをくれてやるものかー!!」

「ニャニャー!(その人は玲子よ!)」




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