□変化して
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『(巻き戻しの街の前には、コムイさんのコムリン騒動のせいで教団が壊れかけたっけ)』


知らぬ間にコムリンに収容されたあの時は、凄くコムイさんに怒ったっけ。リナリーもなんか怒ったたし、なんだか懐かしいなぁ。

その後は、壊れた教団内を修繕に皆総出で取り掛かったっけ。

皆で、取り掛かったっけ。派手に壊れた所の後片付けとか。





…後片付け…?








ボッ!!!





そういう効果音が適切だった。
玲子とリーバーは同時に顔を真っ赤にして、互いに目を反らした。どうやら、同じタイミングで過去の出来事を思い出してしまったようだ。



未遂とはいえ

リーバーがキスを迫ったことを。







気まずい。

非常に気まずい。

ギクシャクしてしょうがない。
というか目を合わせられない。
心臓がバクバクして止まらない。

こういう時はどうすればいい?
何をしたらいい?

話しを掘り返すのだけは、してはいけない。そんな事したら、喋れなくなる。…っていうか今も喋れないんだけど。

っていうか何で目を反らしたんだ。後が気まずくなるだけじゃないか!
しかしここは冷静にならないと事は進まない。普通に、平静に、何も気にしていないという事を示さなければ…!


と、二人は考えていた。



『…こっ、コムイさんなら地下水路へ行きましたよっ』

「、サンキュー。じ、じゃあ行ってくる…っ!」


やっとの事で話し掛けてはみたものの、見事に吃り舌も噛み噛みだった。










「コムイ。あいつを見張っておけ」

「…え?」


所変わり、地下水路。
クロスの言う言葉に驚きを隠せず、コムイは聞き返した。



「監禁しろって訳じゃねぇよ。自分の目の届く所に居させろって事だ」


地下水路とは言っても、船着き場まではまだ距離がある。この距離なら見張りに見られる事も聞かれることも無い。それに、幸いルベリエまだ着いていなかった。


「アイツは特殊だ。伯爵も目を付けている。なら、中央が黙っている訳が無い」

「クロス元帥…アイツって、まさか」

「決まってんだろ。玲子だ」


玲子はアクマ化したのをルベリエに目撃されている。だからルベリエの目の前でわざわざ処刑をしたんだ。だが、クロスには始めから玲子を殺すつもりなどなかった。

それは皆が知っている。
ただ、ルベリエだけは知らない。


「…近いうち、ルベリエには玲子が生きている事を知られるだろう。その時には俺が話す。だが、その時までお前は玲子を守ってろ」

「え…」

「アイツは実験対象に間違いなくされる。んな事させる訳にいくかよ。出来る限りルベリエに知られるまでの時間を稼げ。

絶対に中央に渡すな」


至極真面目な眼差しに、コムイはただ頷いた。


「アイツが中央に渡れば、過去の過ちを繰り返すだけだからな」


忘れた訳ではないだろう。昔、教団がしていたことを。

クロスのその問い掛けに、コムイは顔を歪めた。繰り返してはならない、あの実験。玲子をサンプルにしようとする者も現れるだろう。それを防ぐにはクロスの言う通り、時間を稼ぐしかないだろう。

クロスの言い方から見ると、何やら対策はあるようだ。ここはクロスに任せて、自分は最大限出来る事に力を注ぐしかない。


「分かりました。出来るだけ時間は稼ぎます」


そして、船着き場に着いたのだった。




******




「玲子!」

『リナリー?』


コムイが待ていてくれないかと言って暫く時間が経ち、丁度暇になってきたと思っていた時にリナリーがやってきた。


「玲子、どうしてここに?」

『ん?何か話しがあるみたいでさ。皆呼ぶから待ってる所』

「じゃ、一緒だ。私も呼ばれたんだ。何かイノセンスの話しがあるみたいで…」


共通の話はイノセンスの話。同じだね、と顔を見合わせて笑った。




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