story

□デリート
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『きっと、叶います』

「え?」

『きっと叶います。クロス元帥は生きてます。会いましょう、そのために一緒に日本へいきましょう』

「元帥…」


アニタはただ、ありがとうと一筋の涙を流した。そして、必ず元帥のお役に立ちましょうと決意を新たにした。


『さて、ちょっと話し過ぎたかな。作業開始ー!』

「げ、元帥!だから無理は…!」

『大丈夫大丈夫ー』


慌てて止めに来るマホジャ。アニタも驚いていた。玲子は近くにあった箱を三つ一気に持ち上げると、捕まえようとするマホジャから逃げた。






「玲子まだかなー…」


マホジャについていった玲子を荷物を運びながら待つラビ。
賑やかに誰かが近づいて来ていると思ったら、それは玲子だった。玲子は前が見えないくらいの荷物を抱えていた。

ぐらぐらと不安定で、いつ倒れてもおかしくはない。


「…大丈夫か本当に」


ラビは自分の作業を一旦止めて玲子を手伝おうと近づく。


「おーい、大丈夫か?」

『んー?ラビ?大丈夫…』


そう声をかけた瞬間、玲子は足元にあった板の山積みに気付かず、つまづいてしまった。


『うわっ!』
「危ねぇ!!」


ガタンと派手な音を立てて玲子は荷物を落とし、やってしまった、と苦い顔をする。
ふと気がつくと、前へ倒れるはずだった身体が宙に浮いていることがわかった。


「大丈夫か?」

『う、うん』


あのまま倒れていたら自分が叩き付けられていたであろう床の木目を見た。


『あ、ありがとうラビ』


今だに足が床に着かない状態で支えてくれているラビを見る。呆れた顔をしてこちらを見ていた。


「お前な…」

『ごめんごめん!張り切りすぎて…』


次からは気をつけるから、といえば当たり前だろ、と笑われた。


『(よかった、いつものラビだ)』


昨晩のラビはかなり怒っていたため、今もまだ怒っているのかと思ったがいつもと変わらない様子を感じ、不安は消えていった。


『その…』

「ん?」


何か言いかけた玲子をどうした?と覗き込むラビ。


『そろそろ降ろしてもらえると嬉しいな。…重いでしょ?』


片腕のみで玲子を支えているラビ。もう片方の腕では荷物が担がれている。重くないはずかない。
玲子はなかなか降ろそうとしないラビの腕から逃れようと試みるが、意外と力強くガッシリと捕まえられているため、逃げることは出来なかった。


『ちょっ…、降ろしてよ』

「ダメ。んでもって暴れても無駄。これでも鍛えてるからな、俺」


逃げられると思うなよ?と悪戯っ子のように笑ったラビは更に強く捕まえ離そうとしない。


「うらうら、逃げられるもんなら逃げてみ?」

『ひ、卑怯だー!』


じたばたと暴れれば更に強く捕まえられてしまうわけで、逃げられない。


『はーなーせー!』

「やなこった」


にひひ、と笑うラビの腕が玲子の脇腹を触った。


『ちょ、ラビ!』

「ほ?」


玲子の声に驚いたラビは変な返事をしてしまった。


「な、どうしたさ?」

『…わ、脇腹はちょっと…』


小刻みに震えながら笑いを堪えている玲子を見てピンと来たのか、ラビはまた悪戯な笑みを浮かべた。


「あー、もしかして?」


そういうとラビは玲子の脇腹をくすぐり始めた。


『ひいっ!…あはははっ、やめて…!』

「うりうりー」

『いやははははっ!やだっ…やめ…はははは!』


まさかくすぐったがりだとは思わなかったラビ。調子に乗ってこちょこちょはエスカレートしていく。




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