□閉ざされた瞳
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夢うつつ。身体を揺さ振られていた。脳は覚醒し、目覚めようと瞼を動かす。でも起きたくない、と固く目を閉ざす感情が込み上げてきた。目を覚ませば、またアクマ化してしまうのではないかと思ってしまう。

恐怖から目覚めることを拒んだ。


「起きろ」


声を掛けられ、ゆっくりと瞼を開いた。何も見えない視界には、写るものなどなにもない。


「話がある」


声を掛けてきた人に向き直し、身体を起こした。
アクマ化はしなかった。でも、確実にざわめいている。自我を持ち、人間の皮を被ったアクマは、このような感じなのだろうか。人に対しての殺人衝動と自我と、戦うのか。

…コロセ、とアクマの血が促している。

…コワセ、とダークマターが急かしはじめる。

それを、嫌だと自我で押し込める。これを何回繰り返しただろう。目の前に人が現れる度、その衝動が強くなっている。押さえる力も、段々効かなくなっていってる。


「…破壊衝動なら抑えられるな」


今なら、普通に話が出来るだろう。そう持ち掛けられた。先程から声を掛けてくる人物。


『…クロス、元帥…』

「馬鹿かお前は。考え無しにまた同化しやがって」


ゴツ、と玲子にゲンコツを食らわせるクロス。勿論本気でではない。


『…それは、』
「最初から消えるつもりでいたから、か?
同化をして、さらにダークマターを強めて、暴走し始めたら破壊してもらおうとでも思ったか」


図星をつかれて何も言うことが出来ない。そうして俯く。
クロスは深いため息をついて、また馬鹿野郎と言った。


「この件は、間違いなくお前が不利な状況だ」


分かっている。妙な噂も流れている中、アクマ化をしてしまったのだ。多くの人に見られ、不振な視線を送られ。何の言い訳も出来ないはずだ。
庇いようがない。中央は玲子を危険とみなした。中央に連れていかれ、実験対象として扱われるというなら、



「お前は、俺が処刑してやる」



アクマとして、破壊してやる。それが精一杯出来ることだ。




処刑する。

これで終わるのかと思った。そうだね、きっと終わるんだ。だって教団には手を噛むような飼い犬なんて必要無いからね。

それに、もう恐怖して怯えなくて良くなるんだ。傷付けずに済むんだ。
それなら、いいかなって思った。迷惑ばかり掛けている。でもその迷惑もこれまでにするから。


ごめんなさい。


この苦しみから解放されたいあまりの、自分勝手を許して。



ごめんなさい

ごめんなさい


さよなら









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あとがき


こんにちは八雲です。
あれよあれよというまにシリアスを通り越してしまいそうになっていました…!
反省点、突然の処刑に驚く皆の心情を表せなかった事です。

まとめて言えば、驚き・悲しみ・後悔、色々な感情が沸き上がってどういう風に表せば良いのか分からないで戸惑っている。…っていう感じです。

その前に、この後の続きをどうしよう…!

ここまで読んでくださりありがとうございました!
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