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□闇雲
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レベル4は教団を破壊した。
床が抜け、元帥達は落ちていった。
〈ぼく、こんなにころしたんです。よろこんで!くいーん!〉
玲子を「くいーん」と呼び、無邪気に手を取り振り回すレベル4。
玲子は顔が強張り、何も言えないでいる。レベル4の破壊力、存在感。すべてが恐ろしかった。
だが、恐ろしいと感じる半面、このレベル4と共鳴しているのか、鼓動がやけに激しくなっていた。
〈どうしたんですか、くいーん。喜んでくれないんですか?〉
喜ぶことをしたい、とシュンとする。まるで、母親に喜んでもらえず、残念そうになる小さな子供のようだ。
『…なんて事っ』
レベル4の打撃により空いた空間から、空洞になっている時の独特の空気の流れが起きた。宙に浮されたままの状態では何も出来ない。レベル4に宙吊りにされながら、その声を聞いていた。
〈そうか、たりないんですね?〉
ニコリと笑顔を浮かべ玲子を下ろした。結界装置から出してくれというスカルを壊し、興奮の意を現す。
〈くいーんが満足するくらいの人を、山積みにしてころしてきますね〉
玲子の腰周りに纏わり付き出会えた事が嬉しくて仕方がないようだ。喜ばせるためならなんでもする、という風な口調だ。そうして科学班を襲っていく。その標的は徐々にファインダーへと変わっていく。
早い動きのレベル4に反応仕切れていないファインダーは、次々と犠牲になっていく。
レベル4が人を襲う毎に、何がが疼く。心地好いような感覚がし、身体の芯からゾクゾクしている。
これは―…
快楽…?
『(だめだっ…心までアクマになってしまう!)』
この感覚に見を委ねてしまったらいけない気がする。疼く身体を必死に抑え、内なるダークマターを暴走させないように、アクマ化させないよう自分自身と戦う玲子。
ギュッと自分の腕を抱いて暴れだしそうな衝動を抑えていた。
「し…っ室長ッ」
〈しつちょう?〉
ファインダーの一人が言った言葉に反応するレベル4。コムイの白いローズクロス確認した。
コムイを逃がそうと庇うファインダーだが、無残にもやられてしまった。
〈そのくび、えくそしすととおなじかちがあるのでしょう。あなたのくびください。そうしたら、くいーんもきっと喜ぶ〉
迫るレベル4。トン、とコムイの首に触れた。
離れた所から気配を察知したレベル4は、コムイに傷を一つ付けると後ろへ跳んだ。
「武器庫もっと充実させとけよ」
文句を言いつつ、レベル4の前で構えているのは神田だった。一撃食らわせた刀の刃は砕け、もう一本持っていた刀に手をかける。
コムイを守る神田。レベル4はファインダーの結界装置によって捕えられた。
〈クス…〉
結界装置に捕われても尚、笑っていられるレベル4。出て来る気だと分かった神田は、結界装置から出て来るであろうレベル4に備えて刀を構え直した。
〔コムイ…〕
ヘブラスカの声に気付いたコムイは、教団から撤退することを決めた。
ルベリエがリナリーを連れて来ると聞いたコムイは、下へ降りヘブラスカの所へ向かう。
10秒待つ、とカウントダウンを始めるレベル4。カウントはゼロになり、降下してくる。エレベーターはアクマの衝突により大破した。
「兄さんッ!!」
たどり着いたと同時に、レベル4が激突する瞬間を目にしたリナリー達。ラビは駆け寄り、生きててやれよと願った。取り乱すリナリーにルベリエは無理矢理イノセンスを体内に入れさせようとする。
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