story

□動き出す
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「――…‥玲子ッ!?」


リナリーの目の前にいるのは、酷い怪我を負った玲子。


息を切らして教団内の階段を一歩一歩、ゆっくりと上がっていた。


玲子はリナリーの声に反応し顔を上げると、ニコリと微笑んで見せた。


心配をかけないようにと。


だが、リナリーは蒼白な顔つきで玲子に駆け寄った。


「玲子ッ…!だめ!動かないで!!」


所々巻かれた包帯に赤が滲み出ていた。


『い、医療班の…トコ……行かなきゃ…』

「玲子!だめよ!無理しないで!今医療班を呼ぶから…ッ」


リナリーは玲子の負担を軽くしようと肩を貸す。


すると、玲子の力がすっと抜け、玲子の体はガクリと崩れ落ちた。


「…玲子?……っ玲子…ッ!?」


崩れ落ちた玲子。


リナリーは嫌な予感が過ぎって仕方ない。


早く医療班に連れていかなくては。


このままでは、玲子が…。





『…ス―‥』

「え…?」



ね、てる?


静かに寝息を立てている玲子をリナリーはそっと抱え直した。


………

よかった……、生きてる。


リナリーは玲子の寝顔を一度見て、医療班の所まで連れていった。





玲子をベッドに寝かせ、額の汗をタオルで拭き取った。


玲子の寝顔は穏やかだった。


傷の痛みも和らいだようで、呼吸のリズムも規則正しい。


リナリーは腰をかけていた椅子から立ち上がり、もう一度玲子に振り返る。



「ごめんね、玲子。ちょっと行ってくるだけだから…」



こんな玲子を置いていくのは心苦しいが、科学班の人達も頑張っている。


リナリーは科学班の人達に差し入れをあげたら玲子の所に戻るつもりで医療班を後にした。




この後、何が起こるかも知らずに…。
















「ふあああ、大分遅くなっちゃいましたね〜」


初任務から戻ったアレンは、ファインダーの水路にいた。


真夜中、嵐に見回れ帰るのが遅くなってしまった。


欠伸と延びをした後、アレンは舟をトマに任せ階段を上がろうとした。



ドサッ


階段の上の方から何かが落ちて来た。


視界に入ったソレを見るとアレンは驚いた。




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