story

□動き出す
7ページ/13ページ





「…?何してるのよ、アンタ達?一息入れるわよン!」




ホッとため息を着いた。


どうやらあの状態を見られてはいなかったようだ。


至近距離まで顔を近付けた所なんて見られたら即勘繰りを入れられるだろう。


そんな事されたら、困る。

お互いに。




「…一息、入れるか」


『……はい』




立てるか?と差し出された手に玲子は甘えてリーバーの手を取った。



その手は直ぐに離れてしまう。



お互いが意識して。



「…じゃ、行く、か‥」



玲子に背を向けて先に歩き出すリーバー。



振り返ることもせず、歩く。


後ろに玲子が着いて来ているのは分かる。


だから歩いた。


あえて振り向かない。


多分、玲子を見たら止められなくなる。



さっきの、続きを。




どうしてあんな行動に出たのか分からない。


玲子の笑顔を見たら、思わず。



「(何やってんだよ、俺…)」



考えれば考えるだけ、顔は紅潮していく。



これ以上考えから頭がショートしてしまう。



…忘れよう、今の事は。


次の仕事に差し支える。


忘れよう、この、気持ち…。


俺には、あっちゃいけないんだ、きっと。


忘れよう、忘れよう…。



リーバーはさっきあった事を忘れるように、頭をガシガシと掻いた。





大きく広い背中と赤くなった耳を玲子が見ていた事など知らずに。










科学班につくとアレンが起きていた。


リナリーと話していたアレンは視界に入る玲子に気付き、にこりと微笑した。



『大丈夫?アレン』

「あ、はい。玲子も…」



アレンは疑問に思った。


玲子の顔が少しだけだが、赤い。


同じように、リーバーさんの顔もだ。


何かあったのだろうか。




「あの、玲子さん…「あ、玲子。兄さんが呼んでたわ」」



何かあったのか、そう聞く前にアレンの声は虚しくリナリーに掻き消された。



「よく分からないけど、アレン君の事も呼んでたし、一緒に行ったらどうかしら?」



用件は一度に済ませた方が楽だしね、とリナリーは言った。



『よく分からないけど、行ってみよっかアレン』





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ