story
□動き出す
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「よう、玲子。どうだ調子は?」
窓の補強をしていた玲子にリーバーが板と釘を足しにやってきた。
『あ、ありがとうございます』
リーバーから板と釘を受け取り、玲子は黙々と補強、修復をしていく。
「……その、悪い。病み上がりなのにこんな事させちまって…」
リーバーは罰の悪そうな顔をして玲子の隣に座った。
『そんな事気にしないでください。確かに酷い有様だったけど、コムリンのお陰で怪我も軽くなったんですから…』
あのコムリンに収容された時の記憶は無い。
だが流石コムイの分身。
応急処置は完璧だった。
それから何をされたのか分からないが、任務で負った怪我はスッカリ治った後だった。
もしかしたら変な薬を使われたのかも知れない。
まあ、早く傷が治ったことに関しては感謝しておこう。
『リーバーさんに責任なんてないですよ?』
玲子はリーバーに微笑みかけた。
リーバーもつられて頬が緩んだ。
「…でも、あんま無理はすんなよ?…お前危なっかしいからな」
リーバーは軽く玲子の額を小突いた。
『そんな事ないですよー』と膨れてみたら、明るい笑顔で返してくれた。
「…目が離せないって事だよ。バーカ」
玲子の頭をくしゃりと掴み、自分の方に向けた。
そして柔らかく笑う。
「……おかえり、玲子…」
思わず、ドキッとした。
リーバーの表情は優しくて、真剣で。
玲子を射抜いていた。
段々、顔も近付いて…。
真っ正面にある、リーバーの顔。
……えっ?
…えっ?
え?
このままいったら、
リーバー班長と…
――…‥キ‥
「もー!何でアタシまでこんな事しなきゃいけないのよー!!」
急に聞こえた声に驚き、即座に顔を背ける二人。
「(俺今何しようとした!??)」
自分が今した行動が信じられない。
あれは深い関係になった者達がする事で、俺達みたいなのがするような行動ではない。
ましてや、何も知らない玲子にいきなり…。
ぎこちなく後ろを振り返れば、作業を終えゾロゾロと戻ってきたジェリー達。
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