story

□灰と涙
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『物分かりの悪い奴だね。像には影なんか出来ない。本体にのみ影は出来る。…ここまで言えば分かるかな?』


〈…バカナ…ッ!?人間がそんな事出来るハズ…〉

『あたし、動体視力と反射神経だけは良いんだ。…あんたの負けって事』


玲子はクナイを振り下ろす。



〈…ックソォ!!貴様も道連れダァアァアァ!!!

死ネェエェェエ!!!!!〉


アクマは残っている力全てを振り絞り、放てるだけの砲弾を放ち続けた。







騒ぎを聞き付けた


エディに―…






「……っ…ぁ…」

『…―――ッ!!!』


スローモーションに倒れていくエディ。


いくつか体に穴を開けて。


エディー――――――!!!!!』



全ての力を使い果たしたかのように、アクマは静かに動きを止めた。


玲子は力無く膝を着いた。


目の前には横たわるエディの姿。


『―…ぁ…』


そんな、こんなつもりじゃ…無かったのに…。

巻き込むなんて、そんな…っ。

こんな、こんな事になるなんて。

あたしが、あたしが…。

もっとちゃんとしていたら、こんな事にはならなかったのに…ッ。

あたしが、あたしのせいで、あなたを……、殺しタ……。




『―…っ!!』







〈…ゥギャアァァアアァッ!!〉





玲子が叫ぶ手前で、アクマの叫び声が響いた。


〈…ェ、ディ…サマ……何、故〉


アクマはそういうと今度は本当に崩壊仕出していった。


「…あーあ、最悪」








え…?


何、何で、後ろからエディの声が聞こえるの?


玲子はエディに振り返り姿を確認した。


エディの体からはいくつかの槍が伸びていて、アクマと玲子を突き刺していた。


『…エ、ディ。何、で…』


穴の開いた体を平然と起こしアクマを一瞥するエディ。


「死んだフリだなんて見苦しい。お前の戦い方には美学が無いのよ」


何で、さっき、アクマに殺されたはずじゃ…。

エディはゆっくり手を差し延べて笑顔を作る。


「さ、玲子様。私と共に行きましょう?―――あの世へ…」



そういうとエディの体は軋めいて曲がりくねった。


バキバキと音を立てて体を変形させていく。


玲子はその光景を呆然と見ていることしか出来なかった。


〈さァ、俺ト行こう。玲子〉


エディの鈴を転がしたような声ではなく、男の低い声。


体は人の形をしているが、機械仕掛け。



『―…エディ、アクマ、だったの?』

〈君の見たままが、真の姿だよ玲子。俺はボディが女デ自我が男のアクマ〉


人じゃなく、アクマだった。エディは。


玲子に迫って来ていたあのエディは元からアクマだった。


『…うそ…』


頭で否定しても、目に入ってくる物はそれが全てで。


三日月のように口の端を吊り上げてこちらを見ている。


自我に目覚めているレベル2のアクマ。

〈さあ、玲子俺と行こう。魂はゆっくり抜き取ってあげるから〉



―…魂を抜き取る…



それを聞いた玲子は直ぐに頭が冴えて行くのがわかった。


この屋敷で起こる奇怪。

この屋敷の呼び方は「死神の棲む屋敷」。


そこに住んでいたエディとキース。

キースはファインダー、だったがアクマと入れ代わっていて。


アクマは一体かと思っていたが、実はエディもアクマで。


全てがアクマだったという、最悪の結論になっていた。


二体のアクマに騙されていた玲子。

『…最初に、アクマに襲われていたのは』

〈演技だっタよ?玲子の隙を見て魂を抜き取る為に〉


ケラケラと笑って可笑し気に話しているエディ。






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