story

□嵐ときどき雷
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玲子は女性の反応を見た。


肩が僅かに震えている。


やっぱり言い方がキツかったかな…。


流石に、女性に対して神田口調はきつかったよね…。


やはり、女性には弱い玲子であった。



『…あの』


玲子は謝ろうと女性に近付いた瞬間、がばりと抱き着かれた。


『ぐぇっ』


直に喉元に腕を回されたため、何とも色気の無い声が出てしまった玲子。


そんな玲子を省みず、女性は。



「……っ!いい…!良いですわ!強く発するその言葉!あえて近付けさせないようにするその姿勢!!
たまりませんわっ∨∨!!!!」



と、興奮していた。



何、この人。


何で冷たい言い方をされて興奮してんの?


これは、コムイさんから教わった言葉で言うとあれかな…。


……M?


いや、それ以上だよ、この人は。


じゃあ、あれか。



所謂、ドM?



もうどんな話し方でも通用しないと分かった玲子は、自分なりの言葉でやんわりと混浴(?)を断った。








「散々でしたね、玲子様」


クスクスと口元に手を当てて笑っている男性が一人、入浴を終えた玲子に話しかけてきた。


この屋敷に住んでいるうちの一人だ。


名をキースといっていた。


『散々、所じゃないよ…。身が、持たない……』


げっそりしながら言う玲子にさらに笑うキースであった。


「仕方ありません。エディスティナ様は夢見がちな方ですから」


エディスティナ、とは玲子に求婚を迫って来ているあの女性の名だった。



『あれは、夢見がちどころの話じゃいよ…ι』


「まあまあ、そう言わずに。任務が終わるまでの辛抱ですよ」



キースはにっこりと笑みを浮かべてそういった。



『そうだね…。この任務が終わるまでだ、我慢しよう』


「それが一番ですよ」


『…他人事だと思ってそんな事言うんでしょ、あなた』



じとー、と玲子はキースを見つめる。


キースは今度は豪快に笑い玲子に謝罪した。



「すみません、悪気があったわけじゃないんです。…やっと開放されたと思うと、つい」


『か、開放?まさか、キースも?』


「はい。もうそれは猛烈にアタックされてましたよ…」


あはは、とキースはあさっての方向を見て薄ら笑っていた。


これはそうとうアタックされたんだなと玲子は顔を引き攣らせながら笑った。




『…それにしても』


「…?何です?」


『この屋敷の事なんだけどさ』



本題に入り玲子はキースに話を聞く。


玲子はこの屋敷に着いて、目についたことが一つあったのだ。



『ここ、電話という電話が無いよね?』



こんなに広い屋敷の中に電話の一つも無いのは不自然だ。


情報機器という物全てが見当たらなかった。


玲子はキースに問い掛けた。



「ああ、それはアクマが破壊してしまったんです」


『あ、アクマが!?』


「はい」



キースはごく当たり前のように頷いて言った。


「だから電話は無いんです」


『でも街の電話を借りればいいんじゃないの?』


玲子がキースに疑問を投げ掛けると、ふふ、と笑いため息をついてこう言った。



「あの方を僕一人で見ていられるとお思いですか?」



そのキースの顔といったら、般若以外の何物でも無かった。


『…ご、ごめん…ι』


玲子は触れてはならないものに触れてしまったのだった。





キースは咳ばらいをして、場の空気を改め、また話し出した。


玲子も改まってキースの話を聞く体制を整えた。




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